犬に「生肉」は大丈夫?アンチエイジングや体質改善も?獣医師に聞いたペットの栄養の嘘とホント

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 愛犬がご飯を食べないのはわがまま?それとも病気? 獣医師を訪ねる飼い主さんにとって食事をめぐる悩みは少なくない。昔は、お味噌汁にご飯も食べていた犬がペットフードに移行し、寿命が延びた一方、グルメになったことで新たな弊害も起きているという。「獣医師が教える 愛犬のためのご飯と健康管理」(緑書房)の著者で、日本獣医循環器学会認定医・ハグウェル動物総合病院グループ統括院長の佐藤貴紀氏に聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 新著では、犬の「栄養学」をまとめた一冊になっている。実は獣医師でもペットの栄養については学ぶ機会が少ないという。 

「獣医師が書く栄養の本って実はあまりないんです。そもそも栄養学の知識を大学で十分に身につけてこないというのが現状です。なので、社会に出てからペットフードの会社で働いたり、現場で必要になってから独学で勉強していく形になります。海外事例や海外の専門医の知見を読みながら学ぶしかない。そのため、臨床現場で飼い主さんに栄養の相談をされても、十分に答えられない獣医師が多かったという課題もありました。私は未病・予防医療にも力を入れているので、食事の重要性をもっと伝えたいと思ったのが執筆の理由です」

 佐藤氏は獣医師を続けながら自身でペットフードを開発し、海外の動物の栄養専門医と交流しながら勉強してきた。

「海外文献や専門書、日本と海外のメーカーの知見を組み合わせながら、“日本に暮らすペットに合った食事”とは何かを考え続けています。たとえば犬と猫でも、あげていいもの、悪いものが全く異なります。必須アミノ酸も異なりますし、タンパク質・脂質糖質のバランスも犬、猫、人でそれぞれ異なります。毎日のことなので、そのズレが蓄積すると病気につながってしまいます。“その子に合ったご飯”を選ぶことが本当に大事なんです」

■手作り食ブームの落とし穴

 近年は、手作り食ブームだ。愛犬の健康を考えて自作の栄養食を与える飼い主も増えているそうだが、佐藤氏は昭和や平成初期の外で犬を飼っていた、残り物をあげていた時代に近い発想になりかねないと危惧している。

「人間が食べる食材を使うと調味料が入っていたり、手作りではビタミン・ミネラルが不足しがちだったり、バランスを取るのがとても難しい。もちろん手作り食が悪いとは言いませんが、『栄養バランスを整えたうえで』という前提が必要。特にビタミン、ミネラルの部分ですね。エネルギーにする補酵素だったりとか、タンパク質からホルモンを作るための補酵素だったり、こういったものが自作では足りないっていうことがわかってるんです。人間の食事のように毎日違う手作りのご飯をバランスよくとれてればいいんですけど……しかも、食べるだけではダメで、バランスが崩れると病気を引き起こすことも多いです。膵炎などは脂質の管理がとても重要で、炎症で消化酵素が出にくくなり、脂質を分解できず嘔吐・下痢を繰り返したりします。そういった意味でもタンパク質や脂質の割合バランスが整っている市販の食事をお勧めしています」

 おやつにも注意が必要だ。牛乳は、乳糖を分解できないのでNG。ヤギミルクなら乳糖が少なく消化できることが分かっているから少しなら問題ない。人間用のおせんべいやクッキーは食べられないことはないが、塩分・糖分が高く、食べムラや偏食につながる。犬用のおやつは“薄味すぎて人間には物足りない”が、それが正しい形なのだ。

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