草彅剛がもったいない!「終幕のロンド」鬱展開に感動の押し売り…それでも1つだけ“再確認できた”こと
草彅剛「終幕のロンド」期待は大きかったが…
多くの作品が最終回に向けクライマックスを迎える2025年の秋ドラマ。その中でも、屈指の演技派・草彅剛さん(51)主演作「終幕のロンド ―もう二度と、会えないあなたに―」には、事前の期待が高すぎたためにガッカリさせられてしまいました。
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今作は、草彅剛さん(51)主演で、ヒット作である「銭の戦争」などの「戦争シリーズ」と同じ関西テレビ制作・フジテレビ系ドラマ。草彅さんが遺品整理人を演じるということで、悲しさもありつつ心温まるヒューマンドラマが見られるのかと想像していました。
しかし、ふたを開けてみれば、「主人公とヒロインの貞操観念の低さ」、「盛り込み過ぎなストーリー」、「感動の押し売り」の3点セットで、げんなりしてしまった視聴者も多いのではないでしょうか。
主人公たちの貞操観念の低さ
まず「主人公とヒロインの貞操観念の低さ」ですが、草彅さん演じるシングルファーザー・鳥飼樹は、仕事を通じて中村ゆりさん(43)演じる人妻・御厨真琴に出会います。
真琴は要潤さん(44)演じるモラハラ夫・御厨利人に不倫されつつ、御厨家に縛りつけられ愛のない生活を送ってきました。そんな時、偶然出会った樹と徐々に距離を近づけ、お互い特別な感情を抱きます。
女性が夫以外の男に走る際は、夫がとっても嫌な奴であるのがお決まりです。ただ、だからといって利人との関係になんの区切りもついていないのに、こそこそ嘘をついて会って、ロマンティックな思い出を積み上げるのはどうなんでしょう。
「リスクマネジメント」をご存じ?
それも、夫・利人が大企業の御曹司であるだけでなく、真琴自身も注目の絵本作家として公の場に出ているのに、真琴はリスクマネジメントという言葉を知らないのでしょうか。
しかも、樹はとても心配りのできる優しい男として描かれています。ところが樹は、真琴に夫がいると知りながら、真琴の思わせぶりな言動にもけっこう誠実に応えてきました。これを純愛のように描くのには疑問符が付きます。樹のまだ幼い息子と真琴と共に、一家団欒かのような時間も共にします。何も知らない息子が可哀想です。
その上、うっかり足を滑らせそうになった真琴を樹が助けようとしたら、2人で抱き合うように倒れ込んでしまったり、2人の旅先で嵐が来て帰れなくなった際、仕方なく見つけた宿は一部屋しか空いておらず同部屋になるなど、ベタベタ展開が続き、気持ちがシラケてしまいます。
とにかく主人公とヒロインの関係を全然応援出来ないし、感情移入も出来ません。しかし、遺品整理のお仕事はあまり描かれず、2人の恋模様はどんどんフューチャーされてきます。
闇バイトに毒親…月曜からウンザリ
次に、「盛り込み過ぎなストーリー」もだいぶ深刻です。樹が務める遺品整理会社ではカスハラがあったり、社員の闇バイト関与があったり、毒親が迫ってきたり、月曜から気分が陰鬱になる要素がぎっしり。
利人の方は、不倫・モラハラ野郎なだけでなく、跡目争い、会社のパワハラや過労死隠蔽といった問題も抱えています。そこに主人公とヒロインの不貞疑惑と、とにかくあれこれ詰め込まれ過ぎていて、何を主張したいのかよく分かりません。
「どう?泣けるでしょ?」の連続
最後に、「感動の押し売り」です。前述のように、このドラマの肝になって欲しかった遺品整理パートですが、他の色恋沙汰やら諸問題やらサスペンス要素やらでかなり尺が短くなっています。
それでも遺品整理会社を舞台にしたのだからと、唐突に故人から遺族への胸を打つメッセージなどが放り込まれ、演技派・草彅さんの泣きの芝居も相まって、「どう?泣けるでしょ?」という作り手の意図がありありと透けて見えてきます。そのように感動を押し売りされても、てんこ盛りなあれこれを把握するのに忙しい中、気持ちが追い付きません。
役者・草彅の演技は唯一無二
このドラマで確認出来ることは、草彅さんの演技はやはり唯一無二だということです。故人の想いに心震わせたり、遺族のために感情を爆発させ絶叫したりと、断面的に見ればグッとくるものがあります。
雑音の無いシンプルなストーリーであれば、もっと役者・草彅さんの素晴らしさを堪能出来たはずで、草彅さんの無駄遣いと言われても仕方ないかもしれません。
草彅さんにはまた、テーマが明確な「僕の生きる道」をはじめとする「僕シリーズ」(カンテレ・フジテレビ系)や、モヤモヤをスカっと晴らしてくれる「戦争シリーズ」など、その演技にふさわしい作品が巡ってくることを願ってやみません。
(こじらぶ/ライター)


















