【殺し屋のプロット】記憶喪失と闘うヒットマンが息子の犯罪に奔走

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 本作を見て改めて発見したのがマイケル・キートンの顔演技だ。同じ絶望感を表すのでも、殺しでミスったときと息子の過ちを知ったとき、アニーの本性を知ったときでは顔に差し込む憂いの陰が微妙に違う。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014年)あたりからキートンが演技派だという認識はあったが、本作はさらに進化。頬や目じりの筋肉をわずかにずらす〝静かなる顔演技〟はお見事だ。

 ちなみに原題は「Knox Goes Away」。「殺しのプロット」という邦題に、なんだか古臭いなぁと苦笑したが、見終えるとストーリーとバッチリ合っていると納得した。

 記憶喪失に怯える冷徹な殺し屋はわが身の終活をどう締めくくるのか。意表を突いたラストの余韻を味わって欲しい。(配給:キノフィルムズ)

(文=森田健司)

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