【チェイン・リアクションズ】検証「悪魔のいけにえ」はなぜ不気味で怖いのか?
2026年3月28日よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて公開
トビー・フーパー監督の「悪魔のいけにえ」(原題:The Texas Chain Saw Massacre)。ワンボックスカーで旅に出た若者グループが電動ノコギリの犠牲になる、低予算のホラー映画だ。映画ファンなら誰もが知っているだろう。
筆者はこの映画を封切りの1975年2月に見た。劇場前に設置された立て看板に、米国のキリスト教会が難色を示し、全米の映画館が上映を拒否したというような文言が書かれていたため、つい見たくなったのだ。数十年後、封切りで見たことを映画関係者に話したら「それは珍しい」と感心された。ちなみに米国での公開は74年10月である。
この「チェイン・リアクションズ」(アレクサンドル・O・フィリップ監督)は映画製作に関わる5人の識者が「悪魔のいけにえ」の魅力を冷静に分析するドキュメンタリー。作品が持つ恐怖とその多大な影響力、今日まで語り継がれてきた事情を検証する。第81回ベネチア国際映画祭クラシック部門最優秀ドキュメンタリー映画賞を受賞した。
●第1章 コメディアンのパットン・オズワルト
「『悪魔のいけにえ』は粗野で、人間味が一切ない。カメラが何の意見も持たず、淡々と出来事を映す。だから観客は全部受け止める羽目になる」
●第2章 映画監督・三池崇史
「15歳のとき、チャップリンの『街の灯』のリバイバルを見に行ったが、満席で入れなかった。そこに『悪魔のいけにえ』の看板があり、偶然入っちゃった。それまでの日本のホラーは怪談。物語があった。『悪魔のいけにえ』には理由がない。当時の日本に衝撃的だった。15歳で『悪魔のいけにえ』と出会っていなければ、映画監督になっていなかっただろう」
●第3章 オーストラリアの映画評論家アレクサンドラ・ヘラー=ニコラス
「とても知的な映画で文化的知識の深さが並外れている。こんなのがよくできたものだ。魔法(マジック)だ」
●第4章 作家スティーヴン・キング
「技巧のなさがプラスに働いている。荒削りで人物造形に深みがないのもいい」
●第5章 映画監督カリン・クサマ
「(レザーフェースの)家族は時代に取り残されている。それがものすごく胸に迫る。それと同時に腹立たしい。彼らはアメリカで行き詰まって正気を失った。そこを監督と脚本家は研究したのかも。この映画が不朽の名作たるゆえんは、そこから浮かび上がるテーマにある。“アメリカとは狂気である”」
5人はさまざまなジャンルの映画のエッセンスを引用しつつ、「悪魔のいけにえ」の神髄を語っていく。「吸血鬼ノスフェラトゥ」「羊たちの沈黙」「タクシードライバー」「オズの魔法使い」「わらの犬」など数多くの映像が挿入され、ときに「悪魔のいけにえ」の場面と並列させて比較。これによって観客が作品に魅了される理由が解明される寸法だ。


















