【チェイン・リアクションズ】検証「悪魔のいけにえ」はなぜ不気味で怖いのか?
公開から50年以上経った今でも筆者の最恐映画
1970年代のホラー映画ブームは73年の「エクソシスト」(ウィリアム・フリードキン監督)から始まったと記憶している。当時はまだ「ホラー映画」という言葉がなく、「恐怖映画」「猟奇映画」という言い方をしていた。
「悪魔のいけにえ」は魔物が人間にとりつくのではなく、生身の人間が電動ノコギリで若者を切り刻み、追いかけまわす猟奇映画だ。公開時に高校生だった筆者はただただ怖かった。女優が逃げ回る場面では座席に座りながら足がバタバタ動いてしまった。「オーメン」(76年)や「13日の金曜日」(80年)などホラー映画は数多く作られたが、「悪魔のいけにえ」の怖さにはかなわない。公開から50年以上経ったが、今も筆者の最恐映画だ。
この作品の特徴は登場する若者たちに血が通っていないことだ。彼らがどんな人生を歩んできたとか、お互いにどんな関係なのかという具体的な説明はない。ただ狂気の一家の領域に足を踏み入れてしまったがゆえに、残忍な方法で殺される。
そこにあるのは捕食者とエサの関係だ。ヘビのエサとして与えられる生きたヒヨコと変わりはない。それゆえカリン・クサマの「アメリカとは狂気である」という分析が説得力を持つ。
解説の5人はそれぞれが独自の視点で「悪魔のいけにえ」を分析。これまで気づかなかった細部の描写やレザーフェースの心情、テキサスの不気味な風土などをうかがい知ることができる。「悪魔のいけにえ」は見るたびに新たな発見がある映画だが、この「チェイン・リアクションズ」も同じ。見れば見るほど「悪魔のいけにえ」の狂気の深奥とその社会性を学ぶことができる。(配給:エクストリームフィルム)
(文=森田健司)



















