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桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

NHKドラマ10「魯山人のかまど」は早くも名作の予感! 藤竜也は御年84歳、枯れてなお色香漂う名演技

公開日: 更新日:

引き立て役はとぼけた味わいの古川琴音

 魯山人の口述筆記を担当する記者・田ノ上ヨネ子を演じる古川琴音もいい。とぼけた響きを含む声とあどけなさを残した佇まい。それを併せ持つのが古川の魅力だ。彼女が演じるヨネ子は真っすぐで好奇心旺盛。思ったことをためらいなく口にする。その率直さで一筋縄ではいかない魯山人の懐にすっと入り込む。

 物語は「回顧録」を書くためにヨネ子が魯山人に話を聞く形で進んでいく。彼女の好奇心に導かれるように視聴者も魯山人の輪郭を少しずつ知ることになる。

 本作の魅力はもうひとつある。魯山人の住まいや家具調度、器に至るまで本物が使われている点だ。そこには脚本・演出を手がける中江裕司の強いこだわりがある。

 中江といえば、2022年の映画「土を喰らう十二ヵ月」の脚本・監督として知られる。水上勉の料理エッセーを原作に沢田研二主演で映画化された作品で、作家・ツトムを沢田、担当編集者で恋人の真知子を松たか子が演じた。自然の恵みとともにある暮らしを描き、何より料理の描写が印象的だった。制作秘話によれば、魯山人の住まいはもちろん、家具調度や器の多くが実物だという。

 制作延期や主演交代といった紆余曲折もあったという。本来、魯山人役は小林薫が予定されていたが、途中降板に。年代的には小林が近いのかもしれないが、仕上がりを見る限り、藤で問題なし。小林が演じていたならどうしても「深夜食堂」のマスターのイメージが重なってしまうから。

 早くも名作の予感が漂う「魯山人のかまど」。じっくりと味わって欲しい。

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