【マテリアリスト 結婚の条件】「3高」に固執する物質主義者たちの皮肉な右往左往

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監督が陥った「不一致」への行き詰まりが主人公のルーシーに乗り移る

 ルーシー役のダコタ・ジョンソンの演技が光っている。結婚相談所の女性会員たちの「夢見る夢子さん」的発言の奇矯さ、3高男ハリーの恐るべき完璧さも秀逸。セリフの一つひとつが完成されている。結婚はキツネとタヌキの化かし合いなのだと妙に納得してしまった。

 メガホンを取ったのは韓国生まれのセリーヌ・ソン。実際にマッチメーカーとして働いた経験を生かして本作を撮ったと明かし、こう語っている。

「私はまるで株式トレーダーのように振る舞っていました。誰と死ぬまで連れ添うかは関係なくて、みんなどんなパートナーが欲しいか、まるで買いたい車や家の話をするように話していました。私はその不一致に行き詰まりました」

 ソン監督が陥った「不一致」への行き詰まりが主人公のルーシーに乗り移り、ドラマを劇的に面白く展開させたわけだ。

 物語の結末への評価は見る人の価値観によって違いが現れるだろう。ルーシーはなぜこの決断に至ったのか。スクリーンを見ながら独自の解釈をするのも楽しい。

 もうひとつ。本作で語られる男性の身長の悩みはまことに興味深い。「笑える」なんて言ったら叱られるだろうが、筆者は長身の真相に笑ってしまった。もはや都市伝説だ。(配給=ハピネットファントム・スタジオ)

(文=森田健司)

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