佐々木麟太郎 過酷マイナー生活支える敏腕編成トップと「6人の女性」…問われるマーリンズの育成力

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 米スタンフォード大学の佐々木麟太郎(2年)がドラフト8巡目(全体235位)で指名されたマーリンズに入団する意思を固めたという。

 昨秋のNPBドラフトではソフトバンクから1位指名を受けたが、過酷なマイナーからメジャー昇格を目指すことになる。

 佐々木を指名したマーリンズの編成部門は、メジャー全体でも優秀だと評価されている。

 編成トップのピーター・ベンディックス球団本部長は、タフツ大学時代にセイバーメトリクスを研究。数字に強く、アナリティクス(解析)については「未来を予測すること」としている。

 2009年にインターンとして入団したレイズでは、R&D、選手育成部門などを経て、GMに上り詰めた。レイズ在籍15年間でプレーオフ進出8度、地区優勝3度。退団前には5年連続でポストシーズンに進み、20年にはワールドシリーズ進出も果たした。

 23年11月にマーリンズに移籍し、改革を推進。今季開幕時の総年俸は約7615万ドル(約123億円)で30球団中29位ながら、今季はナ・リーグ東地区3位で粘っている。マイナー組織も大幅に改善しており、MLB公式のファームシステムランキングは、24年プレシーズンの29位から、26年プレシーズンでは11位まで上昇した。

 そんな敏腕が率いるマーリンズは、佐々木のどの数字に目を付けたのか。

 MLB公式サイトによれば、マーリンズは佐々木に関して、数え切れないほどの試合や練習を視察、人物面談を行ったという。担当スカウトのスコット・フェアバンクス氏は佐々木の魅力として「巨大なパワーだ」と指摘したうえで、1年時と比べて選球眼などが向上したことを挙げている。

 実際、佐々木は6月のドラフトコンバインで115.4マイル(約186キロ)の最高打球速度を計時。458フィート(約140メートル)弾も放って注目を集めた。大学2年目の今季は16本塁打、出塁率.403、長打率.549、OPS.952をマーク。1年目のOPS.790から大きく飛躍した。

 マーリンズはオリジナルの育成プログラムを用意しているそうだが、サポート役としてカギを握るのが女性スタッフの存在だ。

マイナーリーグ初の女性フルタイム監督

 筆頭はレイチェル・バルコベック育成部長である。高校時代はソフトボールなど複数競技に取り組み、大学ではソフトボールの捕手としてプレー。19年からヤンキース傘下のマイナー球団で打撃コーチなどを歴任し、22年には1Aタンパの監督に就任した。マイナーリーグ初の女性フルタイム監督として話題を呼んだ。

「ルイジアナ州立大、フリー大アムステルダムと2つの大学院で、運動生理学や運動科学を専攻し、どちらも修士号を取得。ヤ軍時代には科学的トレーニングを行うことで知られる米シアトルの『ドライブライン・ベースボール』に派遣され、打席での打者の視線、腰の使い方などを研究。打撃理論や指導力は高く評価されています」(米メディア関係者)

 ヤ軍のマイナーで大成した代表例として挙げられるのが、今季ブレークを果たしたベン・ライス内野手(27)だ。バルコベック部長は1A時代のライスを指導し、入団1年目の21年は3本だった本塁打は翌22年に9本、23年には20本をマーク。24年のメジャー初昇格につながった。

 マーリンズの育成現場には、メディカル、栄養、教育部門にも女性スタッフがいる。ルーキーリーグや1Aの拠点となるフロリダ州ジュピターには、基礎体力づくりが必要な10代の選手も少なくない。栄養部門ではサラ・カッツ氏がアシスタントディレクターを務めている。

 ジュピターでは管理栄養士のエリカ・ゴンザレス・リブル氏が常駐し、選手が摂取する食事に目を光らせている。

 球団は栄養部門への投資を強化。25年3月のMLB公式サイトの記事によれば、マーリンズはプロスポーツ界で唯一、種子油不使用、加工食品不使用のキッチンを持つチームを目指しているそうだ。

 メジャーのチームでは各選手の故郷の料理が提供されているというから、佐々木が昇格した暁には日本食が振る舞われるかもしれない。

 医療・リハビリ部門では、ジェシカ・シェパード氏がアスレチックトレーニング&リハビリテーション担当のアシスタントディレクターとして名を連ねる。食事管理やリカバリー、水分補給、体調管理まで、若手の土台づくりを担当している。佐々木は185センチ、122キロの大型選手。長いシーズンを戦うための体重管理、腰や膝への負担軽減は欠かせない。フロリダ州ジュピターは高温多湿で発汗量も多く、水分補給管理は、プロ1年目のコンディション維持に直結する。

 さらに教育面では、デイジー・セデーニョ氏がバイリンガル・コーチング&選手教育を担当。生活面では、ルース・ムニョス氏がバイリンガル・ライフスキル&選手教育を担っている。スペイン語圏の選手と接する機会が多いだろうが、佐々木自身も英語習得の支援、米国文化への適応、クラブハウスでのコミュニケーションなどを通じて、接点がありそうだ。

 敏腕編成トップと女性を含めたスタッフ陣が佐々木の「可能性」をどこまで引き出せるのか。本人の努力は不可欠にせよ、球団のサポート力も問われそうだ。

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