私たちは数百円の薬代を節約するため「目に見えない巨大コスト」を払い続けている
「右膝の横のこのプニョプニョみたいのが治らないんです……」
皮膚科の診察室でそう訴えると、先生は患部を見て即座にこう答えた。
「ああ、これね。なかなか治らないよ……」
あれは3年前のこと。仕事に没頭するあまり、机の角に無意識に膝をぶつけ続けていた。
小さな衝撃の積み重ねが、やがて皮膚の下で消えない傷となり、今や古傷のようにうずき、居座り続けている。
でも、そもそもこの診察室にたどりつくまで1時間。予約時刻をはるかに過ぎているではないか。
子供のころに「5分前行動は当たり前」ときつく教わったのに。なぜ、病院だけは許されるのか──。
その理由の一つとして、病院側の「薄利多売」のビジネスモデルが挙げられる。診療報酬という公定価格の中で経営を維持しようとすれば、医師は1人あたり数分で患者をさばき、薄い利益を積み上げるしかない。
待合室の混雑は、「数」をこなさなければ立ち行かない病院の悲鳴でもあるのだ。
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