著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

WOWOW「沈まぬ太陽」は民放では実現困難な力作ドラマだった

公開日: 更新日:

 今からちょうど10年前の2016年7月、WOWOWのオリジナルドラマ「沈まぬ太陽」が後半に突入していた。

 原作は作家・山崎豊子の代表作の一つ。日本航空と同社の労働組合役員だった小倉寛太郎の史実をもとにした長編小説だ。09年には渡辺謙の主演で映画となっているが、WOWOW版は初のテレビドラマ化だった。

 最大の特色は、何より“連続ドラマ”であることだ。しかも全20話であるため、長い年月の物語を丁寧に描くことが可能だった。16年はWOWOWの開局25周年にあたっており、記念としてこの超大作が実現したのだ。

 第1話は「1985年8月12日」の羽田空港から始まった。御巣鷹の尾根での日航機墜落事故が起きた日だ。「国民航空」の大阪行き123便に乗り込むクルー、順調な飛行、突然の破裂音、客席のどよめき、操縦室内の様子などが描かれた後、機影はレーダーから消える。

 こうして実際に起きた航空機事故を正面からドラマ化することは、民放では困難だ。WOWOWだからこそと言っていい。

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