【怪速急行■■行き】美人ユーチューバーが落ち込んだ韓国版「怪談百物語」
芸術的とも言える視覚的に嫌悪感を催す映像の波状攻撃
失地回復に焦る女性ユーチューバーが得意技の怖い都市伝説を求めて駅長のもとに日参。手土産作戦が奏功して毎回、とっておきの秘話を語らせる物語だ。日本の「百物語」を思わせる展開。百話を語ったら本物の幽霊が出てくるというのが日本の趣向だが、本作も同じ。ダギョンが「再生100万回」を達成した途端に本格的な恐怖が襲ってくる。
束の間の幸運を手にしたホームレスやダギョンに嫉妬する美人ユーチューバーが登場。エゴイズムや嫉妬、虚栄心など人間の欲望を根底にした寓話的ストーリーだ。それが地下鉄の駅という現代人にとっても身近な場所で次々と立ち現れる。視覚的に嫌悪感を催す映像の波状攻撃はお見事。ここまでくると芸術的だ。
スクリーンに映し出されるのは地下鉄構内のホームレスやスクリーンドアの広告、自動販売機、吊り革など。そうした見慣れた小道具が戦慄を伴ってジワジワと迫ってくる。メガホンを取ったタク・セウン監督はこう語っている。
「私たちはすべてに見慣れてしまっていて、結局何も見えていません。『怪速急行■■行き』は、慣れ親しんだものが奇妙なものになる瞬間の恐怖を見せたかったのです」
なぜ光臨駅が舞台なのか。駅長はなぜ怪談を語るのか。こうしたミステリーを解き明かしながら、映画は酷暑日でも観客の背筋を冷やしてくれる。ああ、涼しい!(配給=ショウゲート)
(文=森田健司)



















