「男系」どころか「フカ系」? 神武天皇を持ち出す"皇統2600年論"と神話の奇妙な関係
国会で皇室典範改正についての議論が続いていた7月、衆議院の議員運営委員会で、自民党の小林鷹之政調会長は、「皇位の男系継承は、2600年以上にわたって先人たちが守り抜いてきた皇室の伝統です」と発言した。
これは、神話である『古事記』や『日本書紀』に書かれたことを、そのまま事実として受け取らない限り出てこない発言である。
そのため、8月になると、小林政調会長の発言に対して、歴史学の研究者が異議を申し立てた。「連綿と続けられてきた古代史研究の成果を否定するもので、到底容認できない」というわけである(『毎日新聞』9月5日)。
今、巷では河内春人『継体天皇』(中公新書)という本がベストセラーになっている。内容は難しく、日本の古代史について知識のない人には読みにくい本である。だが、日本の王朝が、初代の神武天皇からではなく、実は26代の継体天皇からはじまったことを、最新の考古学や歴史学の研究から論証したものである。
小林政調会長は、おそらくはこの本を読んではいないだろうが、歴史学者のなかに、神武天皇の実在を信じる人はいない。おおむね、継体天皇くらいから日本の王朝がはじまるというのが、歴史学の「常識」である。

















