「橋の名は。」本郷和人監修│全国121の名橋に秘められた物語を楽しむ
「橋の名は。」本郷和人監修
私たちが普段、何げなく渡っている「橋」にも、秘められた歴史があり、そこには人々の切実な祈りや自然との闘いの記録が刻まれている。
本書は、各地に架かる橋に秘められた物語を絶景写真と共に紹介するビジュアルブック。
表紙の橋は、北海道上士幌町「タウシュベツ川橋梁」だ。国鉄時代の遺構で、古代ローマの水道橋を思わせるコンクリート製アーチ橋。役目を終えたこの橋は、水位の上下によって、夏季には湖底に沈み、冬から春にかけて再び姿を現すため、「幻の橋」と呼ばれている。
以降、岩木山の雄姿が湖面に映る津軽富士見湖の両岸をつなぐ木造3連の美しい太鼓橋「鶴の舞橋」(青森県)や、宮沢賢治が「銀河鉄道の夜」の着想を得たという岩手軽便鉄道(当時)時代の橋脚が残る「宮守川橋梁」、かつてはドラム缶で、現在は発泡スチロール製の浮きで奥多摩湖の湖面に浮かぶ「麦山の浮橋」(東京都)、船が通るたびに橋桁が90度回転する「廻旋橋(小天橋)」(京都府)、そして1502年に初代が架けられたという沖縄の名橋「天女橋」など、観光名所になっている橋から地元で愛されている橋まで、121の橋を取り上げる。
日本人にとって、橋は単なる交通の手段にとどまらない。それは「こちら側の世界(現世)と、あちら側の世界(死後の世界)を分かつ『境界』であり、同時にそれらを結ぶ聖なる通路でもあった」(監修者の本郷氏)。
そんな異世界感を味わえるのが福島県の国指定天然記念物「塔のへつり」に架かる「藤見橋」だ。
へつりは地元のことばで「川沿いの断崖」を意味し、橋で渡った向こう岸に鎮座する虚空蔵菩薩を、塔の形をした13の奇岩が囲んでいるという。
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