“枕営業”騒動 出川哲朗はマリエに訴えられたら負けるのか

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 タレントのマリエ(33)がインスタグラムのライブ配信で、15年前に“枕営業”を持ち掛けられたと告発した一件。その場に居合わせて批判された出川哲朗(57)らは「事実無根」と否定しているが、15年前のことで双方の主張は異なり、水掛け論になっている。過去のハラスメントはいつまで訴えられるのか。

  ◇  ◇  ◇

 マリエは18歳のころ、番組の打ち上げ現場で、元タレントの島田紳助氏に“肉体関係”を迫られたと暴露。憎しみの矛先は島田氏本人ではなく、同席しながら「助けてくれなかった」という出川らに向かっている。

 ハラスメントやいじめの加害者側は「軽い冗談」だったとしても、された側は一生忘れないもの。告発から少し時間が経過し、ネット上にはマリエと同様の被害を訴える人たちによる「過去のハラスメントやいじめは、いつまで訴えることができますか?」という質問があふれている。

 というのは、こうした被害感情は後から増幅されることが報告されているのだ。

 米精神医学会(APA)が小児期のいじめの影響を調査した研究結果(2014年4月)を発表している。調査では7~11歳にいじめを受けた被験者と23~50歳に心理的疾患を持つ被験者7700人超を対象として行われ、小児期にいじめを受けた被験者は「45歳の時点で不安や自殺念慮・自殺企図を生じる確率が高い」ことが明らかになったという。10代で経験したトラウマは30年以上経っても残るわけだ。

「PTSD」などの診断書があれば20年以内なら損害賠償請求が可能

 告発までマリエは15年だが、何年先まで訴えられる権利はあるのか?

 民法でいじめやハラスメントは不法行為として損害賠償請求をすることができる。消滅時効は20年からの法改正で3年から5年に延長された。この時効とは、同法724条により、「損害及び加害者を知った時点」から適用される。18年には当時28歳の男性が、中学時代(02年入学)のいじめに対し、元同級生とその両親、中学校を管理していた自治体に対し、計約2億円の損害賠償を求めて裁判を起こした。男性は同級生から上靴を捨てられたり、骨折させられるなどの暴力も受けたと主張。14年にPTSDの診断を受けている。

「過去のトラウマがフラッシュバックし、大人になってから精神科などの病院にかかるケースはあります。原則(消滅時効)は5年ですが、時間が経ってPTSDを発症し、仕事ができなくなったり日常生活に支障を来すようになってからを起点にすることが可能です。また、診断を受けてから、治療してもこれ以上良くなりませんと病院の判断(症状固定)があり、後遺症になれば症状固定の時点から訴えることが可能です。ただし、除斥期間の20年が経ってしまうと診断書があっても損害賠償請求はできません」(山口宏弁護士)

 マリエの場合、当人側に「証言者」や「録音」などの証拠があって、PTSDを発症したなどの診断書があれば裁判は可能となる。

 今年1月には43歳の元生徒の女性が「28年前に通っていた札幌市の中学の男性教諭(50代)に性暴力を受けた」と訴えていた問題で同市教育委員会が男性教諭を懲戒免職処分にした。処分は民事判決を受けてのもので、男性教諭は女性が中学3年生だった1993年から約2年、教諭の自宅でキスをしたほか、学校内で胸を触ったり、車の中で上半身の服を脱がせたりするなどのわいせつ行為を行ったと認定された。

 女性は15年にたまたま傍聴した「児童福祉法違反」の裁判で、「長年、恋愛だと思っていたが違うかもしれない」と感じ、PTSDを発症したことで訴えに至った。民事では除斥期間が過ぎていたため、彼女の場合、損害賠償請求は認められなかったが、わいせつ行為そのものは認められ、男性教諭は社会的制裁を受けた形だ。

「被害女性のケースは基本的に本人の証言ですが恐らく男性教諭側も認めたのでしょう。なかには良心の呵責にさいなまれる方もいますから、法廷の場に呼ばれることで認めることはあります」(山口宏弁護士)

■いじめ証拠は当時の日記、卒業アルバム

 損害賠償請求が可能な証拠とは何か。被害者側は、PTSDを発症したのは過去のいじめが原因といえる証拠を提出しなければならない。

 一般的に証拠となるのは現在ならLINEやメールのやりとり、録音などが有効だが、20年近く前のいじめを証明するのは難しい。

「当時の日記、容姿や性格をいじるような記載がある卒業アルバムや文集、不登校になったなら当時の記録、病院にかかっていたなら当時の診断書。友人らの証言も証拠になりますが、録音がないなら書面に残る記録が望ましいです。あるいは現在なら手軽にメールや録音もできますから、加害者本人を含めて当時の関係者に『過去のいじめについて話がある』と伝えます。話し合いし、そのやりとりを録音させてもらったりすると証拠になる可能性があります」(山口宏弁護士)

 当時、相談したり対応に当たった教職員の名前や、親との連絡帳などで学校を休んでいた記録なども残っていれば有利だ。

「訴訟が可能な条件さえ揃っていたら、費用も時間もかかりますが、結果的に慰謝料は取れなくても、訴えることで社会的制裁を与えることになります。裁判は公開ですから、いじめた側も事実無根が証明されない限り、知人や友人、職場の人に『学生時代のいじめで訴えられたんだ』と知られることはマイナスになるでしょう」(山口宏弁護士)

■「不作為の違法性」

 それでは、出川がマリエに訴えられたらどうなるのか。マリエの暴露では、出川は島田氏の“枕営業”要求の場に同席しながら「助けてくれなかった」立場だ。

「出川さんの場合、『不作為の違法性』を問われることになります。不作為とは“自ら進んで積極的な行為をしないこと”で、積極的に18歳で怖い思いをしているであろうマリエさんをかばったり紳助氏をなだめたりしたか、です。たとえば、目の前の川で、自分よりも立場の弱い子供や高齢者らがおぼれていて助けなかったのは罪か、と同じ議論になる。マリエさんのケースが真実なら止めなかったのは道徳的には褒められませんが、違法性を問うのは難しいのです。いじめ裁判も、黙っていたその他大勢のクラスメートは罪に問えません。ただし、紳助氏に頼まれて打ち上げ現場に連れて行ったなら共謀罪で不法行為に当たります」(山口宏弁護士)

 その場合も、マリエ側が他の芸人らから共謀の事実の証言を取ったり、メールなどの物的証拠を揃えなければならない。現実的には、訴訟をしても罪に問えるのは“実行犯”のみだろう。とはいえ、出川のような有名人は報じられただけで社会的ダメージは大きい。

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