リゼロの限定グッズもフリマサイトに流出報道…転売ヤーがなくならず、むしろ意外と求められる事情

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 6月7日の読売新聞の報道によると、鳥取県で行われているアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活(以下、リゼロ)」と県がコラボしたスタンプラリーで、賞品のグッズがフリマサイトなどで転売されて問題になっているという。フリマサイトを確認したところ、既に1万5千円前後で売れているものも見られる。

 転売ヤーのターゲットになりやすいのが、「リゼロ」と鳥取県のコラボグッズのような地方限定、もしくはアイドルのライブなどの会場限定などといった、いわゆる限定グッズである。こうしたグッズはしばしば運営側が「転売ヤー(転売屋)から買わないで」と呼びかけるケースが多いが、なぜ、転売を撲滅できないのだろうか。

 筆者は、古美術の売買に関わっている性質上、転売を仕事として行う転売ヤーと話をする機会も多い。彼らと話をすると、転売ヤーがいなくならない要因が浮き彫りとなる。そんな背景を探ると、地方と都心の格差が広がる現代日本特有の事情が見え隠れする。

■地方に行くための交通費が高騰

 結論から言えば、限定グッズ、特に地方限定グッズの転売が起きやすい最大の理由は、「現地に行くまで金がかかる」ことが理由である。つまり、「転売ヤーから買った方が安い」ためだ。その逆のパターンもある。地方在住の人も、東京のイベントに参加するには、旅費や宿泊費など多額のカネがかかる。だからこそ転売ヤーを頼ってしまうし、転売の需要がなくならないのである。

 たとえば、平日に東京駅から鳥取駅まで鉄道で移動すると、新幹線から特急に乗り継いで片道1万9410円かかる。往復で約4万円だ。飛行機なら、羽田空港から鳥取空港行きのANAの正規運賃は片道5万2150円に上る。現地では宿泊料金も数千円かかる。インバウンドや中東情勢などの影響でホテル代は値上がり傾向の上、イベントに合わせた値上げが重なることもある。

 転売ヤーの販売金額は、高くても定価プラス数千円程度であり、上乗せ分を購入代行の“手間賃”と考える人も少なくない。「リゼロ」のグッズに至っては、転売ヤーの販売価格が1万5千円前後だから、東京駅から鳥取駅まで陸路運賃の片道分より安い。そもそもスタンプラリーは現地を巡る必要があるため、手間も時間もかかる。手っ取り早くグッズだけ欲しい人にとっては、転売ヤーから買うのは極めて有効なのである。

■並んでも確実に手に入る保障がない

 限定グッズの最大の問題は、“確実に手に入るかどうかわからない”点である。炎天下にグッズ販売の列に長時間並んでも、目の前で売り切れてしまったという話はよく聞く。何時間も並ぶのは肉体的にも精神的にもしんどいのに、売り切れになってはたまったものではない。失った体力も、並んだ時間も無駄になってしまうのだ。

 グッズが確実に欲しい人にとって、転売ヤーから購入することはリスク回避の手段として極めて有効な手段といえる。カネさえ出せば確実に手に入る安心感は極めて大きいだろう。さらに、世の中にはイベントに合わせて休みが取れる人ばかりではない。上司が平日の有給休暇を認めてくれない職場も多いだろう。そういった事情を踏まえると、転売ヤーを利用する人にとっては、極めて合理的な選択だ。

 現地までの交通費や宿泊費が重い一方、現地で完売するリスク、そしてイベントに合わせて休暇を取得できない問題--。推し活をしていると、様々な困難に直面することが多いはずだ。そうしたスキマのニーズを目ざとく見つけ、ビジネスをしているのが転売ヤーというわけである。こうしたスキマに入り込んで、目ざとく儲けるビジネスが嫌われるのは、いつの時代も変わらないのかもしれない。

■転売ヤーを使わずに手に入れる方法は“待つ”こと

 転売ヤーが大嫌いという人は多い。では、転売ヤーから高値でグッズを買わないためには、どうすればいいのだろうか。筆者がアドバイスするのは次の方法だ。自身を“本当のファン”だと思っていて、推しを“ずっと推し続ける”覚悟がある人には、辛抱強く“待つ”ことを提案したい。筆者の経験から言えば、昨今の限定グッズの99.9%は、1年後には定価もしくはそれ以下の安値で手に入るようになる。飽きてしまったファンが一斉に放出し、市場に在庫がダブつくためだ。

 今の時代、コンテンツの消費スピードがとんでもなく速い。アイドルも生まれては消えていくし、アニメは年間とんでもない本数が制作されるため、“覇権作”と呼ばれていたタイトルが数カ月後に見向きもされなくなるケースさえあるほどだ。そのため制作サイドなどの公式側もグッズの管理に頭を抱えている。在庫がダブつくと割引で販売するケースがあるし、裏で中古市場にこっそりと流す公式もあると聞く。

 したがって、“本当のファン”であれば、ほんの1年も待てばいいだけなのである。少し待つだけで定価よりも安く買えるなら、万々歳ではないか。だが、悲しいことであるが、実際は多くの人が1年も経たずに飽きてしまう傾向にある。

 そもそも、「人気が絶頂の時に流行に乗りたい」「人気があるときに限定グッズを入手して周りに自慢したい」という承認要求を持つファンがほとんどで、ここにも転売ヤーが入り込む余地がある。公式が希望者全員に対して受注販売もしくは通販でもしてくれない限り、転売ヤー撲滅はかなり難しいだろう。

(取材・文=山内貴範)

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