黒田日銀は国民生活も世界経済も見えていない
総務省が先週発表した1月の消費支出の数値には愕然とした。1世帯(2人以上)当たり28万9847円は実質で前年同月比5・1%減。昨年は消費増税前の駆け込み需要があったとはいえ、昨年4月の増税以降、10カ月連続で前年同月を下回っている。その期間は震災直後を超え、リーマン・ショック前後以来の長さである。
消費支出の前年割れが続く中、同時に発表された勤労者世帯の平均消費性向の数値は依然として高い。消費性向とは所得のうち消費に充てる割合を指す。なるべくムダな支出を避け、ギリギリ必要な生活の品だけを仕方なく買う。消費支出の落ち込みと消費性向の高止まりは、苦しい家計の姿を物語る。
貯蓄に回すカネはもちろんガタ減り。現役世帯は将来の老後資金を、子育て世帯なら学資資金などをドンドン削らざるを得ない。このような厳しい状況に今の国民は置かれているのだ。