高橋乗宣
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高橋乗宣エコノミスト

1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。

黒田日銀は国民生活も世界経済も見えていない

公開日: 更新日:

 総務省が先週発表した1月の消費支出の数値には愕然とした。1世帯(2人以上)当たり28万9847円は実質で前年同月比5・1%減。昨年は消費増税前の駆け込み需要があったとはいえ、昨年4月の増税以降、10カ月連続で前年同月を下回っている。その期間は震災直後を超え、リーマン・ショック前後以来の長さである。

 消費支出の前年割れが続く中、同時に発表された勤労者世帯の平均消費性向の数値は依然として高い。消費性向とは所得のうち消費に充てる割合を指す。なるべくムダな支出を避け、ギリギリ必要な生活の品だけを仕方なく買う。消費支出の落ち込みと消費性向の高止まりは、苦しい家計の姿を物語る。

 貯蓄に回すカネはもちろんガタ減り。現役世帯は将来の老後資金を、子育て世帯なら学資資金などをドンドン削らざるを得ない。このような厳しい状況に今の国民は置かれているのだ。

 それも当然で、現金給与総額はちっとも伸びず、実質賃金は実に19カ月連続で前年比マイナスとなった。国民はギリギリの生活なのに、黒田日銀は「2%の物価目標」の実現に遮二無二突進している。家計の実態を見ずして物価だけを上げようとする神経を疑う。

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