政府がハンセン病家族訴訟の控訴断念 参院選の最中に一転
ハンセン病患者の家族への差別被害を認め、国に損害賠償を命じた熊本地裁の判決を受け、安倍首相が控訴を断念する方針を固めた。安倍首相が9日、首相官邸で記者会見して明かした。
ハンセン病の元患者家族500人余りが、患者への誤った隔離政策で家族も差別され被害を受けたとして国を訴えた集団訴訟で、熊本地方裁判所は先月28日、家族が受けた損害についても国の責任を認める初めての判断を示し、国に3億7000万円余りの賠償を命じる判決を言い渡した。
これに対して、政府は「家族にまで補償の範囲を広げた例はない」「家族の範囲に加え、損害の程度も不明確だ」などとして控訴する方向だった。
安倍首相も「判決の精査が必要だ。どういう対応を取っていくか真剣に検討して判断したい」と述べていた。
ところが、参院選の選挙戦突入と時を同じくするように、態度を一転。
「元患者だけでなく家族の被害も深刻に受け止める必要がある」として、控訴を断念する方針を固めたという。
もし参院選がなかったら……?