「独裁者に死を!」イランに吹き荒れる若者のデモの実態
1月8日に発生したウクライナ航空機墜落について、イラン政府は当初事故としていたものを、米国の反撃に備えていたイラン軍が誤って撃墜したことを認めた。すると、イラン国内ではそれに抗議するデモが発生するようになった。ハメネイ最高指導者に対して「独裁者に死を!」というスローガンが唱えられるのは異例のことである。イランでは、革命後「米国に死を!(マルグ〔死〕・バル〔~の上に〕・アムリカ〔アメリカ〕)」というスローガンは革命記念日などで唱えられてきた。「マルグ・バル~」は敵対する勢力に対する最も激しい罵りの言葉である。
反米は革命のシンボルで、革命で倒れたイランの国王独裁体制は、1953年の米国CIAが支援して行われたクーデーターで成立した。CIAは国王の弾圧装置である秘密警察SAVAKの創設やその活動に協力し、また米国製の武器購入が国家予算の40%を構成するようになり、さらに米軍関係者たちがイスラムの保守的価値観と相違する米国の「腐敗文化」をイラン社会にもたらしたことが、革命の反米イデオロギーとなった。