コロナで緊迫する病院経営「政府は現場を理解していない」
新型コロナウイルスの全世界での感染拡大について、世界保健機関(WHO)はついにパンデミックを認めた。日本政府は3月5日、国民が感染の有無を知るためウイルスのPCR検査について保険適用を許可した。
これまで受診を希望する人に対し、保健所の検査拒否や施設側のたらい回しが指摘されたが、医療現場は依然混乱が続いたままだ。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」に、都内の民間病院院長が混乱する現場の戸惑いをこうぶつける。同医院にはすでに20症例を超えるCOVID―19(新型コロナウイルス)を疑う患者が来院している(3月11日現在)。
「約半数は保健所を経由した診察依頼ですが、発熱持続を心配した患者さんや近隣開業医からの紹介者もほぼ同数来ています。患者さんにはインフルエンザ、マイコプラズマ、アデノウイルス感染を否定し、胸部レントゲンまたはCTで肺炎像を確認し、採血検査で炎症反応も見て、尿中肺炎菌抗原、レジオネラ抗原を検討します。これで原因疾患が確定できない場合、COVID―19疑いとしてPCR検査依頼を保健所にしますが、ほとんどの場合、検査許可は下りません」