著者のコラム一覧
片岡健ノンフィクションライター

1971年、広島市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、ノンフィクションのライターに。新旧様々な事件を取材し、新事実や冤罪を発見している。著作に『平成監獄面会記』、同書が漫画家・塚原洋一氏によりコミカライズされた『マンガ「獄中面会物語」』(共に笠倉出版社)、『もう一つの重罪 桶川ストーカー殺人事件「実行犯」告白手記』(リミアンドテッド)など。最新刊は2026年4月発行の『実録 死刑囚26人の素顔』(宝島SUGOI文庫)。

1998年和歌山カレー事件 元目撃証人Aさん(当時16歳)が明かす「知られざる25年」

公開日: 更新日:

自身も逮捕、暴力団入り…

 では、林死刑囚の裁判に出なかったのはなぜか。

「取材の人が店にめっちゃ来て、迷惑がかかるんで店を辞めたら、超はじけ倒してね。遊び回るうち、事件を起こして逮捕されたんや。そしたら検察が『裁判は出なくていいです』と言ってきたわけや」

 実はAさん、中学の頃から素行が悪く、何度も警察の世話になっていた。検察はAさんの経歴が不利にはたらく可能性を懸念し、裁判に呼ばなかったのかもしれない。

 その後、Aさんは暴力団に入ったが、少年時代からの友人に「ヤクザをやめんと、付き合いをやめるぞ」と言われて堅気に。現在はその友人が営む会社で真面目に働いている。

 だが、カレー事件との関わりは最近まで続いた。4年前、林死刑囚が「事実無根の目撃内容を言いふらされた」と損害賠償1000万円を求めて提訴してきたのだ。弁護士に相談して勝訴したが、警察は助けてくれず、「二度と捜査協力なんかせん」と思ったという。

 林死刑囚の冤罪説はAさんも知っていた。筆者もAさんが林死刑囚を目撃した際、彼女が本当に手に紙コップを持っていたのか疑問に感じていたので、その点を確認したが、Aさんはクールにこう言った。

「俺は記憶通りに話しただけやから。林真須美が犯人であろうがなかろうが、どっちでもええよ」

 事件はどんな結末を迎えるだろうか。

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