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阿波野秀幸元プロ野球選手

1964年7月28日、神奈川県生まれ。桜丘高、亜大を経て、86年のドラフト1位で巨人、大洋(現DeNA)を含めた3球団競合の末、近鉄に入団。87年、新人王、89年は19勝(8敗)、183奪三振で最多勝と最多奪三振のタイトルを獲得。その後、巨人、横浜でプレー、通算75勝68敗5セーブ。引退後は巨人、横浜、住友金属鹿島、中日などでコーチを務めた。

97年は最終戦でヤクルトのホージーを四球で歩かせただけで終わった

公開日: 更新日:

 1997年のシーズンはヤクルトが2位以下に10ゲーム以上の大差をつけてリーグ優勝。巨人はヤクルトから20ゲーム差の4位に沈んだ。

 最終戦は10月8日、神宮球場のヤクルト戦だった。私はその試合の八回裏、打席にホージーを迎えた場面でマウンドに登った。

 ペナントの行方はとうに決まっていて、焦点はセ・リーグの本塁打王争い。38本塁打でリーグトップを走るヤクルト・ホージーを、巨人の松井秀喜が1本差の37本塁打で追っていた。松井にタイトルを取らせたい巨人とすれば、ホージーに本塁打を打たれるわけにはいかなかった。

 ホージーはスイッチヒッター。本塁打の確率が高いのは左打席で、右打席は打撃が粗っぽい。だから右打席に立たせた方が無難ということで、左腕の私に白羽の矢が立った。

■「本塁打だけは打たれないように」

「とにかくホームランだけは打たれないような投球をしてくれ」と首脳陣に送り出されたものの、狭い神宮球場で、外国人選手に対して、ここに投げておけば大丈夫ということはほとんどあり得ない。仮にそんなコースがあるとしても、万が一、ボール1個か2個分、甘く入り、フェンスギリギリで入ったとしても本塁打は本塁打だ。打った方がうまかったでは済まないと分かっていたから、これはもう、歩かせるしかないと思った。

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