「米中もし戦わば」ピーター・ナヴァロ著、赤根洋子訳

公開日: 更新日:

 統計によれば、歴史を振り返ると米国のような既成の大国と中国のような新興勢力が対峙した際には、戦争に至る可能性が70%以上あるという。今後、米国と中国が戦争状態になる可能性はあるのか。

 中国の軍事力増強の実態、戦争の引き金となる周辺諸国との攻防や考えられるシナリオ、東アジアのパワーバランスの行方などを分析しながら、多角的に検討しているのが本書だ。

 中国の軍事力分析では、第2次世界大戦時には存在しなかった人工衛星による宇宙戦争の可能性や、すでに水面下で始まっているサイバー戦争にも言及。中国側の戦略を多方面から分析している。著者がトランプ政権の政策顧問を務めていることもあり、米国の対中政策を知る意味でも参考になる。

 特に中国と周辺諸国のさまざまな問題を分析した第3部や、同盟国である日本やフィリピンとの連携について考察した第4部は必読。地理的にも政治的にも危うい位置にいる日本の在り方について考えさせられる。(文藝春秋 1940円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」