「中国バブルはなぜつぶれないのか」朱寧著 森山文那生訳
書名がそのまま本書の主題。その答えは「中国の官製バブルだから」。改革開放路線以後の中国は、国家ぐるみで資本主義市場に立ち向かう方法を追求。その結果、中央政府が主導し、地方政府、国有銀行、国有企業、さらに私企業を含めた業界がすべて結託してバブルの状態を「暗黙に保証」する仕組みをつくり上げた。そんな「剛性泡沫」(本書の原題)は強靱そのもので、近年の日本の「インバウンド景気」にもつながった。しかし、バブルは必ずはじける時限爆弾のようなもの。それゆえ、一刻も早く市場中心の仕組みへの改革が求められる、という著者は中国出身で、米カリフォルニア大の終身教授にして上海高級金融学院の副院長を務める大物経済学者だ。
(日本経済新聞出版社 3000円+税)