米国で半年間ホームレス…園子温監督が振り返る“極貧時代”

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 当時はITバブルの頃。ある晩、チャイナタウンの路上で寝ていたら、IT長者らしき白人が酔っぱらって「やるぜ」って、ボクにドサッとカネを投げてよこした。お腹の上に載った紙幣を見たら、全部100ドル紙幣! 紙幣の束の厚みが半端じゃなくて。でも、プライドがあるから「こんなのいらねぇよ!」って言ったら、そいつが「だよね」って言って全部持って帰っちゃった。「しまったな」って、すげぇ後悔しました(笑い)。

 B級ならぬ、Z級映画のレンタルビデオショップのおじさんと仲良くなったら、たまに店内のソファで寝泊まりさせてくれた。Z級映画もタダで見せてくれて。「スチュワーデス対半魚人」とか「チアガール対吸血鬼」みたいな、日本では絶対見られない珍品ばっかり。

 でも、そういう映画を見ながら、子供の頃、何にドキドキしていたか思い出した。映画って、もともと見せ物小屋的な精神で作られてる物。だから気取っててもしょうがねえなって。それで書きだしたのが、メジャーデビューすることになる「自殺サークル」(02年公開、第7回ファンタジア国際映画祭受賞作)でした。

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