市川由紀乃に歌手“再出発”を決意させた大作曲家の笑顔

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 そのときは歌手への未練もなかったし、戻れるとも思っていませんでしたが、歌から離れ、離れれば離れるほど、歌いたい思いがあふれてきたんです。中森明菜さんの「少女A」のレコードを買って、歌手に憧れた小学生の頃の気持ち、「奥飛騨慕情」を歌うと喜んでくれた祖母の笑顔、歌で母に一軒家をプレゼントしたいと思っていた情熱が蘇り、世の中の苦労を少しだけわかった今ならもう一度頑張れる、頑張りたいって。

■「悲しい歌を歌うときこそ、笑いなさい」

 市川先生には厳しくご指導いただきながら、中途半端に放り出してしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたけど、「再スタートを切らせていただく」と申し上げたとき、こうおっしゃいました。

「また、元いたところからやればいい。一緒に頑張ろう」って。そしてマイクの前に立ち、声を出した瞬間のうれしさといったら……。私は私。誰かと比べるのではなく、自分の心をきれいにして、真っすぐに、歌の思いを伝えよう。ステージでは先生から教わった通り、まず真正面を向いてほほ笑みました。

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