(27)「サ高住」見学の約束を取り付けるだけで疲労困憊

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 老健の生活は緩い時間が流れている。高齢の要介護者ばかりなので、回復期病棟のような活発な人の動きはほとんどない。各種レクリエーションも介護度の高い人に合わせる傾向が強く、「自分は元気」と思っているおかんは退屈に感じ、「家に帰せ」口撃が再燃する可能性が高かった。

 とはいえ、絶対に帰さないと決めていたわけじゃない。理学療法士や作業療法士、ソーシャルワーカーに自宅訪問してもらい、改築で対応できるか見てもらう機会もつくった。結果は相当な工事を行わなければならず、準備期間や費用面を考えると現実的でなかった。

 それに老健にいられるのは原則3カ月間なので、あまり時間の猶予がない。スタッフからの報告では、おかんは個室にこもる時間が増え、リハビリやレクリエーションに誘ってもあまりやりたがらなくなっているとの話もあった。では、どうすべきか?

 妥協案として出たのはサ高住に入居してもらい、自分がどこまでできるのか現実を直視してもらう。そのうえで定期的に自宅に帰してあげるというもの。自宅を別荘のごとく維持したり、送迎や付き添いの手間は増えるけれど致し方ない。この線でおかんを説得してみることにした。

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