“海のウルトラ重機”クレーン船の知られざる実力「探る!海の職人技クレーン船 解体新書」出水伯明写真 田中淳夫取材・文
「探る!海の職人技クレーン船 解体新書」出水伯明写真 田中淳夫取材・文
クレーン船とは、クレーンで重量物を吊り上げ移動させる用途に特化した船舶のこと。沈んだ船や飛行機などを引き揚げるサルベージをはじめ、海沿いに設備を設置したり、施設を建設したりする際に活躍する。
特大クレーン船は、パイプラインの建設や海上に架かる橋、海底トンネルの建設に欠かせない。海外には、最大で1万トンを吊り上げ可能なクレーンを2基も備えた船まであるという。
本書は、その仕組みから作業の実際まで、クレーン船の世界を案内するビジュアルブック。
まずはその仕事ぶりを、写真で伝える。
東日本大震災の復興工事の一環として行われた本土と気仙沼大島をつなぐ架橋工事(2019年)をはじめ、18年に台風の強風で流されたタンカーが衝突して使用不能になった関西国際空港連絡橋の架け替え工事、さらにあの明石海峡大橋工事など、写真を見ただけで巨大構造物を吊り上げるその怪力に圧倒される。
驚くのはそれだけではない。クレーン船は吊り上げたものを1センチの狂いもなく所定の位置に正確に降ろさなければならず、そのすべてを揺れる海上でやり遂げるのだ。
続いて、クレーン船「駿河」に乗り、北九州市の物流拠点田野浦地区で老朽化したコンテナクレーンの撤去作業を密着ルポ。
その作業の実際に立ち会いながら、クレーン船には自らを動かす動力がなくタグボートや、アンカー船、着火船などの小型船舶とともにチームで働く様子を伝える。
さらに、定滑車と動滑車の組み合わせで小さな力で重いものを吊り上げるその原理や、重いものを吊り上げても船が転覆しない仕組みの解説から、船内の乗組員たちの生活空間の案内まで。
知られざる海のウルトラ重機の実力に脱帽。 (新泉社 2200円)



















