中村竜太郎
著者のコラム一覧
中村竜太郎ジャーナリスト

1964年生まれ。大学卒業後、会社員を経て、95年から週刊文春で勤務。政治から芸能まで幅広いニュースを担当し、「NHKプロデューサー巨額横領事件」(04年)、「シャブ&ASKA」(14年)など数々のスクープを飛ばす。「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」では歴代最多、3度の大賞を受賞。2014年末に独立し、現在は月刊文藝春秋などで執筆中。フジテレビ「みんなのニュース」のレギュラーコメンテーター。

<第1回>「とにかく現地に行って徹底的に取材してくれ」

公開日: 更新日:

「ロイター通信によりますとパレスチナ解放戦線が犯行声明を出したという情報もあります」「アメリカFOXテレビによりますと航空機が激突し6人が死亡、およそ1000人が負傷したということです」「ワシントンの国防総省ペンタゴンにも航空機が激突したという情報も入ってきました」

 発生当初は情報が錯綜するものだが、しかしそれ以上にあまりの衝撃に事態をうまくのみ込めないというのが実際のところだった。

 世界貿易センタービルはニューヨーク市マンハッタン島最南端にあり、アメリカの金融を支えるウォール街の一角にある。金融業界を中心におよそ1200の企業が入っており、1日5万人の人が勤務しているという。調べると多くの日系企業も入居していた。日本人の被害者もいるかもしれない。

 早速編集部は現地取材を決め、私と入社3年目の同期T記者とI記者が任ぜられた。

「とにかく現地に行って徹底的に取材してくれ」

 デスクはこう命じた。新聞・テレビのような大手メディアと違い週刊誌に支局はない。人数も限られている。ただひたすら自力で取材するのみだ。重責を負うと同時に使命感もあった。どこへ当たろうか、と取材の段取りを考えていると、「ああっ」とテレビ前から大きな悲鳴が聞こえた。ツインタワーが大爆発し、摩天楼にそびえ立つ超高層ビルが無残にも崩れ落ちたのだった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    今オフ勃発「FA捕手大シャッフル」…侍Jの巨人・大城、SB甲斐を筆頭に中日、阪神も参戦か

    今オフ勃発「FA捕手大シャッフル」…侍Jの巨人・大城、SB甲斐を筆頭に中日、阪神も参戦か

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  4. 4
    3Aでもボロボロ…藤浪晋太郎の活路を開くのは阪神復帰か? 日本ハム、オリックス移籍か

    3Aでもボロボロ…藤浪晋太郎の活路を開くのは阪神復帰か? 日本ハム、オリックス移籍か

  5. 5
    3人兄妹の末っ子だから年上と遊ぶ機会が多く、彼らと遊ぶだけの体力もあった

    3人兄妹の末っ子だから年上と遊ぶ機会が多く、彼らと遊ぶだけの体力もあった

  1. 6
    “辞めジャニ”野村義男は59歳で現役バリバリ!引く手あまたの秘訣は「第三の道」を歩んだこと

    “辞めジャニ”野村義男は59歳で現役バリバリ!引く手あまたの秘訣は「第三の道」を歩んだこと

  2. 7
    巨人・秋広が今季初昇格も阿部監督「全く期待していない」…のんきな性格がアダで早くも背水の陣

    巨人・秋広が今季初昇格も阿部監督「全く期待していない」…のんきな性格がアダで早くも背水の陣

  3. 8
    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

  4. 9
    当時日本ハムGMだった山田正雄氏が「この性格はプロでやる上でプラスになる」と確信した決定的瞬間

    当時日本ハムGMだった山田正雄氏が「この性格はプロでやる上でプラスになる」と確信した決定的瞬間

  5. 10
    人間性やスタンスが如実に表れたMLB挑戦時の「西海岸かつ小規模都市」へのこだわり

    人間性やスタンスが如実に表れたMLB挑戦時の「西海岸かつ小規模都市」へのこだわり