小島慶子<下>「ホライズン」は40代半ばだからこそ書けた

公開日: 更新日:

「TBS社員時代はラジオの番組後記を書く程度だった」と振り返る小島慶子さんが、物書きを生業とする現在の姿をいちばん驚いているようだ。4月に上梓した2作目となる長編小説「ホライズン」(文藝春秋)は、夫の仕事に伴い南半球で暮らす4人の女性たちの孤独と共感を描いた。今だからこそ書ける作品だという。

 ◇  ◇  ◇

 オーストラリアで私を産み育てた母は一体、何を考えていたのか――。今作の着想は自分が同じ土地で子育てをして初めて感じた素朴な疑問をもとに、女性ならではの幸せや人間関係のしんどさをつづりました。美しい親子愛、絵になる友情、ステキな夫婦……いずれも簡単に築ける関係ではありません。

 それに40代半ばにもなると、身近な相手と過ごす時間が、人生の豊かさにつながるとは限らないことを痛感します。ただ、人とつながることにささいな喜びを感じないわけではない。そこはかとないつながりのまま友情が芽生えることもあれば、時間をおいて出会い直しが必要な場合もある。人間関係は実に難しいものですが、小説には、現実社会のネガティブな関係の中にもある希望を込めて書いたつもりです。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」