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中川右介

1960年東京生まれ、早大第二文学部卒業。出版社「アルファベータ」代表取締役編集長を経て、歴史に新しい光をあてる独自の執筆スタイルでクラシック音楽、歌舞伎、映画など幅広い分野で執筆活動を行っている。近著は「月9 101のラブストーリー」(幻冬舎新書)、「SMAPと平成」(朝日新書)など。

ドイツ女優が広めた「花はどこへ行った」は反戦運動の象徴

公開日: 更新日:

 加藤登紀子の自伝「運命の歌のジグソーパズル」は「1968年」がリフレインされている本だ。同年は彼女がパートナーとなる藤本敏夫と出会った年だが、それだけではない。アメリカの公民権運動とベトナム反戦運動、フランスの5月革命、チェコスロバキアの「プラハの春」、そして日本の学生運動と、世界各地で若い世代が闘っていた年だった。その1968年から50年経ったいま、彼女は68年だけでなく、さらにその50年前がロシア革命の動乱期であり、さらにその約50年前にはパリ・コミューンがあったと指摘し、近現代史の出来事と歌とを関連付けていく。

 その起点となる68年を象徴するのが、ピート・シーガーの「花はどこへ行った」だ。といっても、この歌が作られたのは56年だ。それが68年前後になって、反戦運動の象徴となったのだ。

「花はどこへ行った」はピート・シーガーが作詞・作曲したが、詞には原作があった。ロシアの作家ショーロホフの「静かなドン」の中にコサックの子守唄として出てくる歌だ。「静かなドン」はロシア革命の起きる前、1910年から物語が始まる大河小説で、25年に書き始められ、40年に完結し、ソ連を代表する文学として評価され、ショーロホフはノーベル文学賞を受賞した。

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