(2)ちぎれて取れなくなった靴ひもを抜いて…性的欲望は底深い
私が川崎で診療所を開業した昭和の終わりは、バブル経済直前で男も女もエネルギーにあふれていた時代でした。人の欲望が行き交う色街ではさまざまな出来事が起きていて、診療所も“事件”には事欠きません。
色街の診療所というと、患者はプロの女性や遊び人ばかりと思うかもしれません。しかし、性感染症という病気の性質上、遠くからやってくる一般の患者さんも大勢いました。
ある日、お尻(肛門)から膿が出たという若い男性がやってきました。最初はお尻に玩具でも入れて直腸が傷ついて膿んだのかと思いました。しかし、そうではありません。超音波で調べると、膀胱内に大きな結石がある。しかも通常の膀胱結石よりも異常に大きい。
聞くと、半年前に尿道に靴ひもを入れて“一人遊び”をしていたところ、ひもがちぎれて取れなくなったという。数日、尿道から出血したものの、しばらくして止まったのでそのままにしていたというのです。
どうやらちぎれた靴ひもを核にして、膀胱内に結石ができたようです。それが膀胱の内壁を傷つけて、直腸に炎症が起きて膿が出ていたというわけです。こうなると開腹手術をするしかありません。


















