義母の“下手な言い訳”が悔しい…「#ばぁばメロメロ」の投稿に衝撃。母親が家族への期待を諦めた日

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コクハク

誰が見ても“娘命”タイプの義母

 幸せなはずの結婚生活に影を落とす、姑との問題。令和の時代でも根強く残る嫁姑トラブルに直面したケースをご紹介します。

【令和の嫁姑問題】

「スマホの容量がなくてねぇ…」

 姑が言い訳に使ったこの一言が、我が家の友人・奈央の心にずっと刺さっている。

 もちろん、本当の理由は“容量”なんかじゃなかった。

 奈央(32)の義母は、誰が見ても“娘命”タイプだった。実家には、壁一面に娘の子どもの写真。季節のイベントごとに写真が貼り替えられ、アルバムも毎年増えていくという徹底ぶり。

 一方で奈央の息子・湊(みなと)については、会ったときに「可愛いわねぇ」と口では言うものの、特別に構うわけでもない。

 “可愛いけど、うちの子じゃない”という壁のようなものを、奈央はいつも感じていたという。

 だが、それが確信に変わったのはSNSだった。

我が子の投稿はゼロ

 義母はインスタにハマっていて、毎日のように投稿していた。料理、庭いじり、旅行…そして、娘の孫。

「#うちの宝物」「#成長が嬉しい」「#ばぁばメロメロ」

 写真の構図もコメントも熱量たっぷりで、見る人が見れば“溺愛”が伝わってくる。

 ある日、奈央はふと気づいた。

 ──うちの子、1回も載ってない。

 偶然か? タイミングの問題か? 判断しにくいからこそ、じわじわと不安が募る。

勇気を出して義母に言った結果

 だが決定的だったのは、ある投稿だった。

 義母が「運動会でした!」と投稿した写真に、娘の孫が元気に走っている姿が写っていた。その説明文にこう書かれていた。

「孫の晴れ姿、胸がいっぱい。やっぱり娘の子は特別ね」

 その瞬間、奈央の胸にストンと落ちた。

 ──ああ、意図的に載せてないんだ。

 後日、奈央は勇気を出して義母に言った。

「よかったら、湊もインスタに載せてあげてください」

 義母は困ったように笑って、あの台詞を言った。

「スマホの容量がなくて…」

 いや、毎日投稿してる人が言うセリフじゃない。ましてや動画まで載せてるのに。

「娘の孫が特別」が生まれる理由

 奈央は一瞬で悟った。義母にとって湊は、「インスタに残したいほどの“家族の誇り”」ではないのだと。

 もちろん、義母は悪気があるわけじゃない。娘の子と過ごす時間が圧倒的に長く、気を遣わず世話もできる。その積み重ねが“情”になり、結果「娘の孫が特別」という気持ちにつながっているだけだ。

 頭では理解できる。でも、心はついてこない。奈央が言う。

「差別って、大声でやられるより、静かにやられる方がつらいんですよ」

 例えば、写真の数。例えば、呼び方の温度。そして、SNSの投稿頻度。言葉には出さないのに、形として積み上がっていく差。

 それが“証拠”になって、じわじわ効いてくる。

インスタに載らなくても

 奈央は夫にも相談したが、夫は「母さん悪気はないし」「SNSなんて気にしすぎだって」とまるで聞いていない。

「私の気持ちより、母の気持ちばかり守るんだよね」と奈央は苦笑した。

 今でも義母のインスタに、湊が登場することはない。奈央はもうお願いしないと決めた。期待しなければ、傷つかないからだ。

 それでも奈央はこう締めくくった。

「愛情って、DNAじゃなくて“どれだけ関わったか”で決まるんだと思う。だから私が湊と過ごす時間を大事にして、誰より愛してあげればいい。インスタに載らなくても、あの子の価値は変わらないから」

家族を広く求めないということ

 SNSが暴いた“愛情の差”。でもその痛みは、強さに変えられる。奈央の言葉はそんなふうに聞こえた。

 そして奈央は「この件があったからこそ、私は“家族”を広く求めなくなった」と話していた。

 義母に期待しないぶん、友人や近所の人、保育園の先生など、湊を大切にしてくれる大人たちの存在がよく見えるようになったという。

「血より、子どもをちゃんと見てくれる人が一番ありがたいんですよ」

 そう笑う奈央の顔は、あのときよりずっと晴れやかだった。

(おがわん/ライター)

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