著者のコラム一覧
中川右介

1960年東京生まれ、早大第二文学部卒業。出版社「アルファベータ」代表取締役編集長を経て、歴史に新しい光をあてる独自の執筆スタイルでクラシック音楽、歌舞伎、映画など幅広い分野で執筆活動を行っている。近著は「月9 101のラブストーリー」(幻冬舎新書)、「SMAPと平成」(朝日新書)など。

ドイツ女優が広めた「花はどこへ行った」は反戦運動の象徴

公開日: 更新日:

 ソ連の小説に出てくる子守唄をもとに、アメリカのフォークシンガーが作詞・作曲した「花はどこへ行った」を世界中に広げたのは、ドイツ生まれの女優マレーネ・ディートリヒだ。ディートリヒはドイツ人だが、ヒトラー政権を嫌ってアメリカの市民権を得て、第2次世界大戦中は米兵の一員としてドイツとの最前線に慰問に行った信念の人だ。その慰問で歌ったのが、「リリー・マルレーン」で彼女の代表曲となったが、戦後、もうひとつ代表的な歌となったのが「花はどこへ行った」だった。

〈彼女(ディートリヒ)の歌うこの歌には、アメリカでフォークソングとして歌われたのとは違う、深い悲しみと、土の深さと、遠い歳月の陰影がある。(略)さりげない転調を使ったアレンジで、悲しみが土に、心の奥に沈み込んで行くような、深い輪廻が見事に表現された。〉(自伝「運命の歌のジグソーパズル」から)

 ディートリヒと加藤登紀子は、実は誕生日が同じだ(12月27日)。生まれた年は40年以上違うが、運命的なものを感じるではないか。ショーロホフ、シーガー、ディートリヒと、時空を超えて渡されてきたバトンは今年、加藤登紀子の手にある。彼女は自ら「花はどこへ行った」を訳して、4月のコンサートで披露した。ロシアの100年近く前の小説の子守唄をもとに、60年前にアメリカで作られ、ドイツ人が世界各地で歌った「花はどこへ行った」は、2018年の日本で新たな生命を得たのだ。 
(おわり)

【連載】加藤登紀子をひもとく5曲

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  2. 2

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  1. 6

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  2. 7

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  3. 8

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  4. 9

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  5. 10

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁「キャスター」視聴率2ケタ陥落危機、炎上はTBSへ飛び火…韓国人俳優も主演もとんだトバッチリ

  2. 2

    佐々木朗希「スライダー頼み」に限界迫る…ドジャースが見込んだフォークと速球は使い物にならず

  3. 3

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道でも活動自粛&会見なし“強行突破”作戦の行方…カギを握るのは外資企業か

  5. 5

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  1. 6

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  2. 7

    三山凌輝に「1億円結婚詐欺」疑惑…SKY-HIの対応は? お手本は「純烈」メンバーの不祥事案件

  3. 8

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  4. 9

    佐藤健と「私の夫と結婚して」W主演で小芝風花を心配するSNS…永野芽郁のW不倫騒動で“共演者キラー”ぶり再注目

  5. 10

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意