最新回の朝ドラ「ばけばけ」ウラの見所~今日も不憫な錦織(吉沢亮)、3人の絶妙な“間”に笑った。演技派たちから生まれるコメディ

公開日: 更新日:
コクハク

第10週「トオリ、スガリ。」#48

【朝ドラのツボ!】

 松江の寒さに風邪を引いてしまったヘブン(トミー・バストウ)。ヘブンの回復を祈り必死に看病するトキ(髙石あかり)のもとに、小谷(下川恭平)がお見舞いに駆けつける。

 ヘブンを元気づけようとする小谷に対し、トキはヘブンの姿に亡くなった傳(堤真一)を重ね、不安を募らせていた。小谷はトキを励まそうと怪談の舞台地巡りに誘うのだった。その頃、松野家ではサワ(円井わん)から小谷がトキに好意があることが伝わる。

【こちらもどうぞ】「ばけばけ」まるでコント? へなちょこ司之介、勘右衛門のツッコミ、おサワの変顔…クセつよ脇役が見もの!

【本日のツボ】

「ワタシヤマイ アナタミマイ」
 ※※以下、ネタバレあります※※

 布団の中で、ブードゥー人形を握りしめ、「快復しろ、暖かくなれ」と願うヘブン。同じように、ふすま1枚隔てた台所で、「よくなりますように、松江が暖かくなりますように」とヘブンに貰ったブードゥー人形を握りしめて願うおトキ。

 困った時の神頼み、やはりこの2人は一緒になるべくしてなるんだなあ、ということを思わせる描き方でした。

 そこへ、お邪魔虫、じゃなかった小谷がお見舞いにやってきます。小谷の目的がヘブンでないことは、視聴者にはとっくにわかっているわけですが、当のおトキはまだ気づいていません。

 ヘブンの枕元で、「錦織先生が教えて下さっています。…ですが、ヘブン先生の授業のほうがずっとずっと面白く…。なので、1日でも早く戻ってきて欲しいと皆」と小谷。

「アリガトウ。But、ニシコリサン、イマス。イマス、ニシコリサン」とヘブンに言われ、「ん? ニシコリサン?」と振り返る小谷。そこには、正座する錦織(吉沢亮)の後ろ姿が。

「あっ!」と驚く小谷。微動だにせず、「悪いなあ つまらん授業で」と錦織。「い、いつから?」「ずっと居たよ」「小谷さんがいらした時はお手洗いに」とオトキ。「悪くなかったですよ。久々の錦織さんの授業」「悪くなかった?」とここで振り向く錦織。そこにヘブンとおトキの笑い声も重なります。

 小谷、錦織、おトキ、3人の間が絶妙でひと笑いさせていただきました。

ラップのようなヘブンの言葉

 錦織が帰っても、帰らない小谷。目的はおトキなのだから、それはそうでしょう。

 ヘブンが小谷に、「私が死んでも悲しまないで。ただの通りすがりの異人です」とおトキに伝えるよう言います。「通りすがりの異人」という言葉に一抹の寂しさを覚えるおトキ。表情がなんともいえません。

 ラストのうぐいすを相手に、「あんたとの距離のほうが縮まっちょるかもね」というのもよかったです。

 話は小谷に戻って。おトキと怪談ランデブーの約束をとりつけます。盛り上がる2人に、寝ていたはずのヘブンがふすまを開けて「コタニ! シャラップ!」と2人の元に近づいてくるヘブン。

「ワタシヤマイ アナタミマイ」、そして、英語で「楽しくおしゃべりなんておかしい」と。すみませんと謝る小谷に、「アバヨ、アバヨ!」と帰れのジェスチャーをして怒りを露わにしました。

 寒いのに、わざわざ布団から出てきて、小谷に文句を言うヘブン。これは嫉妬ではないかと思ったり。「ワタシヤマイ アナタミマイ」、ラップのようなヘブンの言葉に笑ってしまいました。

 小谷がおトキを好いているとおサワから訊き、こちらも盛り上がる松野家。「おトキには内緒に」とおサワが口止めすると、「だったら、おサワちゃんが内緒にしとかんと」「まったくじゃ。すべてワシら喋っとる」「おサワちゃんって意外とお口が軽いのね」と松野家の3人。

 おサワの「面目ございません」で、こちらもひと笑い。演技達者の俳優が揃うと、何気ない会話からも笑いが生まれてきて、それも楽しみです。

(桧山珠美/TVコラムニスト)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因