物盗られ妄想の80歳女性「防犯カメラごと盗られたの」
在宅医療を始めたいという相談をされて来られる方には、認知症を抱える患者さんが少なくありません。認知症の症状は進行の度合いだけでなく、患者さんの個性によっても現れ方がさまざまです。
その中でもよく見られるのが「物盗られ妄想」です。これは認知症の初期から中期にかけて現れやすく、特に女性に多いとされています。典型的なのは、自分が物を置いた場所を忘れてしまい、次第に「誰かが盗った」と信じ込んでしまうケースです。皮肉なことに、この症状は認知症が進行すると治まってくる傾向もあります。
こうした妄想が生じる背景には、記憶障害を受け入れたくない気持ちや不安感があり、さらに自尊心を守るための防衛反応が働くことが関係しています。
病院では私物が制限されることがありますが、自宅での療養では日々のちょっとした変化に気づきやすく、ご家族もそれに合わせて対応しやすいという利点があります。
あるとき、「物盗られ妄想」の症状が出始めた、独り暮らしの80歳の女性の患者さんを訪問しました。


















