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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

物盗られ妄想の80歳女性「防犯カメラごと盗られたの」

公開日: 更新日:

 在宅医療を始めたいという相談をされて来られる方には、認知症を抱える患者さんが少なくありません。認知症の症状は進行の度合いだけでなく、患者さんの個性によっても現れ方がさまざまです。

 その中でもよく見られるのが「物盗られ妄想」です。これは認知症の初期から中期にかけて現れやすく、特に女性に多いとされています。典型的なのは、自分が物を置いた場所を忘れてしまい、次第に「誰かが盗った」と信じ込んでしまうケースです。皮肉なことに、この症状は認知症が進行すると治まってくる傾向もあります。

 こうした妄想が生じる背景には、記憶障害を受け入れたくない気持ちや不安感があり、さらに自尊心を守るための防衛反応が働くことが関係しています。

 病院では私物が制限されることがありますが、自宅での療養では日々のちょっとした変化に気づきやすく、ご家族もそれに合わせて対応しやすいという利点があります。

 あるとき、「物盗られ妄想」の症状が出始めた、独り暮らしの80歳の女性の患者さんを訪問しました。

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