著者のコラム一覧
中川右介

1960年東京生まれ、早大第二文学部卒業。出版社「アルファベータ」代表取締役編集長を経て、歴史に新しい光をあてる独自の執筆スタイルでクラシック音楽、歌舞伎、映画など幅広い分野で執筆活動を行っている。近著は「月9 101のラブストーリー」(幻冬舎新書)、「SMAPと平成」(朝日新書)など。

森繁久彌が“同じ心で歌っている”と激賞した「知床旅情」

公開日: 更新日:

 加藤登紀子が「知床旅情」という歌を初めて聴いたのは、後に夫となる藤本敏夫と最初に会った1968年3月のある日だった。

<初デイトだったその日、相当酔っ払ってもいたが、私の住んでいるマンションの屋上で夜空を見ながら、彼が朗々とこの歌を歌ったのだった。私は、ちょっと打ちのめされた! 歌手なのに、私はこんな風に気持ちよく人に歌を聞かせたことがない。>(自伝「運命の歌のジグソーパズル」から)

 レコードデビューをしている歌手の前で朗々と歌う学生運動のリーダーと、その歌に素直に打ちのめされる歌手――脚色はあるのかもしれないが、日本音楽史の名場面のひとつだ。加藤にとって、一目惚れならぬ「一耳惚れ」だったのかもしれない。加藤登紀子は藤本の歌に感じた「何か」を求めて自らの音楽を模索するのだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    マエケンは「田中将大を反面教師に」…巨人とヤクルトを蹴って楽天入りの深層

  3. 3

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 4

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  5. 5

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  1. 6

    陰謀論もここまで? 美智子上皇后様をめぐりXで怪しい主張相次ぐ

  2. 7

    白木彩奈は“あの頃のガッキー”にも通じる輝きを放つ

  3. 8

    渋野日向子の今季米ツアー獲得賞金「約6933万円」の衝撃…23試合でトップ10入りたった1回

  4. 9

    12.2保険証全面切り替えで「いったん10割負担」が激増! 血税溶かすマイナトラブル“無間地獄”の愚

  5. 10

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?