マネジャーをダミーにして人混みの中を駆け抜けたことも…

公開日: 更新日:

 道といえば、週末ごとにあったイベントで、ある時、こんなことがあった。

 イベントには会場にいつもたくさんの人が来てくれていた。ステージに上がるまでの道中には、裏でステージまで行けるところもあれば、お客さんのいるところを通っていく場合もある。そこで揉みくちゃにされたのだ。お客さんのところを通るときは、いつも警備の人が道を案内してくれるし、人との距離もとってくれるのだけど、その時はそれでも追いつかなかった。

 ぐしゃぐしゃにされながら、私は自分で自分を抱きしめるように体を丸めて、その場を抜けた。途中、誰かに髪を引っ張られたような感覚はあったが、こういう時は体を触られたりすることは大いにある。頭や髪、腕などを触られてもいちいち構ってなどいられない。とにかくその場を抜けることが最優先なのである。

 そうやって、何とか扉の向こうに避難して、スタッフともどもほっとした時、「あれっ」とマネジャーが私の頭を指さした。衣装とお揃いの布でつくられた、髪飾りがなくなっていることに気づいたのだ。それはもう、私の手には戻って来ることはなかった。どこかの誰かの手元にあることだろう。捨てられたり、なくなっていなければいいな。その衣装を見ると今も思い出す。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし