厳しい監視のもと…公衆電話で10円玉を重ねた初めての恋は

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大西結花編 <7>

 初めての恋は、二十歳をいくつか過ぎてからだ。中学卒業と同時に芸能事務所に所属し、上京して以来、恋愛禁止はこの仕事の必須条件だと言われ、当然のように受け入れていたし、恋愛したくても、歌番組の収録中に男性タレントとちょっと雑談しただけで、マネジャーに「なんの話をしていたの?」と聞かれるほど。親より厳しい監視のもと、自宅に戻っても電話すら自由にできなかった。

 応援してくれるファンと触れ合えるときも、緊張することもあった。握手会では、あるとき手を強く握られた。思わず「痛い」と声が出てしまったが、すぐに離してもらえず、それに気づいたスタッフが駆けつけて離してもらった。ファンの人に悪気があったことではないけど、ちょうどこの頃、先輩アイドルが傷つけられる事件もあり、私も周りもピリピリしていた。まさかのときは、まず顔をガードするようにと言われたものだ。

 そういう状況だったから、一人で出歩くのも怖かったりした。まあ、プライベートな時間などほとんどなかったのだけれど。たとえば仕事を終えて戻った自分の部屋でベッドに入るまでの間も、これが金曜日だったりすると、土日のキャンペーン用のサイン色紙、300枚以上を書いていたりする。山積みの色紙にペンを入れながら、突っ伏して眠ってしまう。街を出歩いたり、はやりの映画を見に行ったりしたこともない。夜の六本木や西麻布など、別世界だった。バブルの華やかな思い出を聞かれることもあるけど、ドラマの打ち上げなどの景品にハワイ旅行や大型テレビがあって、驚いたくらいである。

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