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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

熱狂マダムを生む出す純烈リーダー・酒井一圭の義理堅さ

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 その後、なんと彼は「マッスル」でプロレスデビューも果たす。「マッスル」はマッスル坂井が主宰した興行だ。試合のクライマックスで選手たちがスローモーションになり、「情熱大陸」(TBS)のエンディング曲「エトピリカ」が流れるといった演劇的演出を駆使。「プロレスの向こう側」を切り開いてきたエンタメプロレスの極致だ。

 酒井はそれに肌が合ったのだろう。けがを抱えながらも継続して参戦していた。また2歳年下のマッスル坂井のよき理解者として、苦悩する彼に寄り添ってきた。その「マッスル」も10年に休止。一方、酒井は同じ頃、純烈の活動を本格化させ、「涙の銀座線」でメジャーデビューを果たした。

 そして今年2月、「マッスル」は両国国技館で“復活”。それを酒井が知ったのは「紅白」出場が決まる前だった。坂井に「あれはホントなの?」と確認すると、「もし紅白に出場できたら、純烈としては『マッスル』もぜひ出たい」(AbemaTV「AbemaTIMES」19年2月15日)と、「紅白」出演を前提に参戦を直訴した。

「紅白」歌手がプロレスに出場することにメリットはないだろう。けれど迷いなどなかった。「マッスル坂井がササダンゴ・マシンになったり、それぞれキャリアを積んでるじゃないですか。だから自分としても、純烈で積んだキャリアを持って『マッスル』に戻りたかった」(同前)と。

 その心意気で酒井は「ゲスト」にとどまらず、大会の主役のひとりとして壮絶な戦いを見せたのだ。また、「紅白」出場直後もスーパー銭湯で凱旋ライブを行った純烈。そうした義理堅さが、義理堅い熱狂的ファンを生んでいるのだ。

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