フィリベール監督が語る「ドキュメンタリー撮影」の極意

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 最大の見せ場ともいえる第3チャプターでは、研修生が教師との2者面談で実習での失敗や将来の迷いを涙ながらに訴えるシーンがある。その姿はごく自然で、カメラを意識していない。

「自分を誇らしげに思える経験ばかりではないのに、彼らはカメラの前で告白してくれた。そこには感謝しかない。2台のカメラと録音マイク、総勢4人の撮影チームが入り、研修生たちは我々の存在を嫌でも意識していたはず。そんな中でも赤裸々に語ってくれたのは信頼関係があったから。彼らは私が尊厳を傷つけない監督だと信頼してくれていたんだ」

 限られた取材時間の中で、どのように信頼関係を築くのだろうか。

「この作品を撮りたい理由をきちんと説明した上で、私たちは『withの関係』だと伝える。被写体の誰もがいつでも撮影を拒否する権利があることも話す。許諾を取ったなどと押し付けるのは、絶対にしてはいけないことなんだ」

 揺るぎない絆と信頼の軌跡は、ぜひスクリーンで。

(取材・文=小川泰加/日刊ゲンダイ

ニコラ・フィリベール▽1951年、仏・ナンシー生まれ。映画監督、映像作家。「パリ・ルーヴル美術館の秘密」(90年)、「音のない世界で」(92年)で国際的な名声を獲得して以来、「ぼくの好きな先生」(02年)など数々の作品を発表。最新作の「人生、ただいま修行中」では監督、作品、編集を担う。

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