「誤解を招いたとしたら申し訳ない」藤川直也著

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「誤解を招いたとしたら申し訳ない」藤川直也著

「広く募ってはいたが募集はしていない」

 こうした責任の所在を曖昧にする発言が各所で見られる。本来、発言には責任が伴い、言い訳は通用しないもの。約束を破ったら非難されても仕方ない。

 だが、自ら発した言葉の意味を否認することで責任回避を図る手だてがある。それが「そんなつもりはなかった」だ。そこに潜むのは「本当のことは本人にしかわからない」論法。本人が「そんなつもりは」と言えば、他人がそれ以上、意味したことをどうこう言うことはできない。「誤解を招いたとしたら申し訳ない」も同じで、発言の意味したことをなかったことにしようとするのだ。

 言語学者の著者が、言葉と責任の関係をあやふやにする構造と問題点を指摘しながら、真に豊かなコミュニケーションのあり方を模索する。 (講談社 2420円)

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