80歳女性は胃ろうを経て、初めてとんかつを2切れ食べられた!
在宅医療を始められた患者さんの中には、「食べること」に強いこだわりを持つ方がいらっしゃいます。
今回ご紹介するのは、くも膜下出血の手術と入院を経て、現在はご自宅で療養されている80歳の女性です。息子さんご夫婦と同居されており、ご家族の支えのもとで在宅生活を送られています。
くも膜下出血とは、脳を包む3層の膜──軟膜、くも膜、硬膜のうち、くも膜と軟膜の間(くも膜下腔)において、動脈が破裂し、血液が急激にくも膜下腔に流入した状態です。症状としては、今まで経験したことがないような激しい頭痛、吐き気、嘔吐、意識障害が見られます。
非常に重篤な状態で、重症なケースでは死亡率も高いのですが、この方は幸いにも命の危機は脱しました。当初は、口からの飲食が困難なため栄養摂取のために腹部にチューブを通して胃に直接栄養を送る「胃ろう」の手術を受けられました。しかし、回復が進み、現在では少量ながら口からの食事が可能となっています。
初診時、息子さんから以下のようなお話がありました。