著者のコラム一覧
板坂康弘作家

東京都出身。週刊誌ライターを経て、阿佐田哲也、小島武夫が結成した「麻雀新撰組」に加わり、1972年創刊「近代麻雀」の初代編集長。小説CLUB新人賞を受賞して作家デビュー、著書多数、競輪評論でも活躍。

<9>麻雀は打ち手によって格調が生まれる

公開日: 更新日:

 配牌を見て、「三萬」自摸の後、第1打牌に何を選ぶか考えてほしい。

 第1自摸「三萬」の後、打牌に中ぶくれの「三筒」を選ぶ人もいるだろう。そうすると、2巡目の「六索」引きで、聴牌になる。「發」が雀頭の愚形だが、「エイッ」と「五索」切りでリーチをかける打ち手もいるだろう。名人戦に裏ドラはないから、これだと栄和で1300点だ。

 阿佐田さんの第1打牌は「發」の対子落としだった。

 手なりの進行を拒み、この配牌の価値を最大限に引き出す狙い。2巡目、阿佐田さんは「六筒」を引き、「三筒」を捨てている。

 雀聖の目標は、三色同順の一点になった。必要な牌は「二索」と「四萬」。この牌譜が紙面を飾ることを考え、手牌の可能性を最大限に引き出そうとしている。牌譜の貴賤は、打ち手の想像力によって決まると思える。

 断っておくが、「發」雀頭のリーチが、いつもいけないわけではない。トップで逃げ切りを図る時、ツキ親を蹴りにいく時など作戦的に許される場合もある。

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