著者のコラム一覧
板坂康弘作家

東京都出身。週刊誌ライターを経て、阿佐田哲也、小島武夫が結成した「麻雀新撰組」に加わり、1972年創刊「近代麻雀」の初代編集長。小説CLUB新人賞を受賞して作家デビュー、著書多数、競輪評論でも活躍。

<9>麻雀は打ち手によって格調が生まれる

公開日: 更新日:

 阿佐田さんが「二索」を引いて聴牌したのは摸打9巡目だが、2巡回してリーチをかけた。その理由は5巡目にツモ切りしたドラ「白」が他家にポンされたことにあった。そうでなければ、黙聴で回して、「一萬」を見逃したと思う。ドラを鳴かせてはそうもいかず、安目「一萬」で栄和した。

 画竜点睛を欠くとでも言うか、苦労しても最後のツメがうまくいかないのは、麻雀では普通のこと。手役を育てるプロセスに苦心しても、あがり牌が安目では「ツイてない!」とわめきたくなる。

 しかし、麻雀の面白さは、こうした不条理にもあるのではないか。その点も、人生にそっくりである。

 阿佐田哲也さんは、ツイてるツイてないという言葉は口にしなかった。手役志向の強い麻雀を打ち続け、結果にはこだわらなかった印象がある。

 麻雀は打ち手によって格調が生まれるゲームだと、結びたい。

▽おことわり 当欄の筆者である板坂康弘さんが6月15日、神経内分泌がんのため、亡くなられました。享年85。この連載は生前書き残したものであり、しばらく遺稿の掲載を続けていきます。(日刊ゲンダイ 編集部)

【連載】阿佐田哲也 ギャンブルの哲学

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    二階堂ふみと電撃婚したカズレーザーの超個性派言行録…「頑張らない」をモットーに年間200冊を読破

  2. 2

    参政党・梅村みずほ議員の“怖すぎる”言論弾圧…「西麻布の母」名乗るX匿名アカに訴訟チラつかせ口封じ

  3. 3

    キンプリ永瀬廉が大阪学芸高から日出高校に転校することになった家庭事情 大学は明治学院に進学

  4. 4

    さらなる地獄だったあの日々、痛みを訴えた脇の下のビー玉サイズのシコリをギュッと握りつぶされて…

  5. 5

    横浜・村田監督が3年前のパワハラ騒動を語る「選手が『気にしないで行きましょう』と…」

  1. 6

    山本舞香が義兄Takaとイチャつき写真公開で物議…炎上商法かそれとも?過去には"ブラコン"堂々公言

  2. 7

    萩生田光一氏に問われる「出処進退」のブーメラン…自民裏金事件で政策秘書が略式起訴「罰金30万円」

  3. 8

    二階堂ふみ&カズレーザー電撃婚で浮上したナゾ…「翔んで埼玉」と屈指の進学校・熊谷高校の関係は?

  4. 9

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 10

    日本ハム中田翔「暴力事件」一部始終とその深層 後輩投手の顔面にこうして拳を振り上げた