著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

デジタルの“配信ドラマ”は「奥行きの無い塗り絵」でしかない

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 何度も書いてきたが、“映画”は映画館で見るように作られてきた。そもそも、映画フィルムのひとコマに写る濃密画像は、横4000ピクセル(画素)×縦2000ピクセルの4Kなどという粗い画面とは比べようがないのだ。色素が重層的に複雑に絡まる(ほんとに顕微鏡で見たら驚愕する)フィルムならではの世界は、デジタルでスキャンしても再現は不可能で、それは「奥行きのない塗り絵」でしかないのだ。

 一層だけの平面画素の集まりでしかないデジタル画像では、沈みゆく夕陽の赤と青の中間色なんて出るわけがなく、スクリーンに映るわけもない。荒野の風景も人の顔色の変化も適当にしか映っていないし、しかも、そんな見かけ倒しの画像を、手のひらのスマホの圧縮画面で見られてはお手上げだ。そこがどこの街角か、誰の顔かも分からなくなって当たり前だ。

 ネット配信では“映画”は別ものとして見られている。肉ステーキでなく、豆腐ステーキを食わされている。コーヒーでなく水を飲まされてる。だから、10分間に編集した「ファスト映画」なんていうふざけた海賊動画がユーチューブにCM広告付きで流されてしまう。それで稼いでいたバカ野郎が捕まったが、その損害賠償金は膨大だろう。ざまあ見やがれだが。

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