著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

東京に運動会をしに集まった外国人選手 何人が地獄の記念日を知ってるんだろう

公開日: 更新日:

 日本中がメダル争いにかまけてるうちに、8月6日だ。広島に人類史上初めて、人間が住む場所に原爆が投下された日だ。でも、東京に運動会をしに集まった外国人選手の何人が、日本選手の何十人がそれを知ってるんだろう。黙とうと言われたら、「そうか、アメリカが極秘計画で開発し、76年前の先月16日にニューメキシコの砂漠で初の核実験をして、それでポツダム宣言という最後通牒(つうちょう)の後、日本への原爆投下を決行し、その3日後、トルーマン大統領も将官も何のちゅうちょもなく長崎にも落としたんだ」と思いを馳せる選手が果たして何人いるかだ。日本、アメリカの選手にいるのか? ほとんどがほとんどを知らないだろうな。今日はその地獄の記念日だ。

「忘れてはならない」「記憶をつなごう」と誰が言おうと、戦争の記憶がない世代の多くは上の空だ。1939年、ドイツでウラン原子核が2つに分裂すると莫大な核エネルギーが放出するという発見からすべてが始まった。ユダヤ系物理学者ジラードがそんな核爆弾をナチスが造れば、世界が潰されるとアインシュタイン博士に相談し、ルーズベルト大統領に手紙を書き、ナチスより先に開発するように、進言したのだった。

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