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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

「漫才は最高の芸」信念を貫き通す上沼恵美子の荒波だらけの人生

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 彼女の代名詞といえば「ホラ」だ。「バラエティー生活笑百科」(NHK)の「相談員」としてのコメントでの名物だった。初期の頃は普通のコメントが台本に書かれていたため、自分で台本を変えて「実家は大阪城」と言うとバカウケ。そこから漫才で鍛えた彼女の話芸が生かされるようになった。

 そんな彼女だから、今も「漫才は最高の芸」だという信念が揺るがない。「この世でいちばん難しい。マイク1本を2人で挟んで、お客さんを爆笑させる芸は他にありません」(「文芸春秋」=前出)と。だからこそ、しゃべくり漫才にこだわり続け、いまだ舞台に立つオール巨人をリスペクトしているのだろう。

 モットーは「ホラは吹けども嘘はつかない」(同前)。だからこそ、衝突も少なくなかった。全身全霊を懸けて取り組んでいた「快傑えみちゃんねる」(関西テレビ)は、上沼にとって納得のいかない非情な終焉を迎えてしまった。そこにコロナ禍が追い打ちをかけ、引退も考えたというが、それでも芸の道に立ち続けている。「荒波だらけの人生」を生きてきたと振り返る上沼は言う。

「私は自分で苦労を買って出たのかもしれません。自分だけの面白い『人生ゲーム』を作るために」(中央公論新社「婦人公論」21年11月24日号)

 そうやって上沼はこれまで誰も通ってこなかった道を開拓してきたのだ。

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