歌舞伎座vs新橋演舞場“新作歌舞伎”対決の行方…シリーズ化を期待したい「流白浪燦星」に軍配

公開日: 更新日:

 第二部、神田松鯉の講談を原作とした新作『俵星玄蕃』は、セリフ劇としてしっかりしているので安心して見ていられる。尾上松緑はダークサイドに落ちた人物が合うのだが、今回の玄蕃も快活だが挫折と屈折のある人物。明るいが面倒臭いキャラクターをうまく出していた。

 第三部の泉鏡花『天守物語』は坂東玉三郎が当たり役を中村七之助に譲った。玉三郎は演出と、脇役で出演。前半は七之助の富姫と玉三郎の亀姫の会話で進む。

 かなりとんでもないことを話しているのだが、玉三郎だと異様な内容でもナチュラルに響き、普通の会話のようだ。しかし後半、七之助だけになると、泉鏡花の描く世界の異様さが際立ち、「天守物語は、こんなにも変な話だったのか」と驚いてしまう。これまで演じていた玉三郎が、いかに泉鏡花のとんでもなさと同化していたかを思い知った。

(作家・中川右介)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 3

    砂川リチャード抱える巨人のジレンマ…“どうしても”の出血トレードが首絞める

  4. 4

    日テレ退職の豊田順子アナが定年&再雇用をスルーした事情…ベテラン局アナ「セカンドキャリア」の明と暗

  5. 5

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  1. 6

    中学受験で慶応普通部に合格した「マドラス」御曹司・岩田剛典がパフォーマーの道に進むまで

  2. 7

    吉沢亮「国宝」が絶好調! “泥酔トラブル”も納得な唯一無二の熱演にやまぬ絶賛

  3. 8

    阿部巨人“貧打の元凶”坂本勇人の起用に執着しているウラ事情…11日は見せ場なしの4タコ、打率.153

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  5. 10

    フジ・メディアHD株主総会間近…328億円赤字でも「まだマシ」と思える系列ローカル局の“干上がり”ぶり