【アルバム『彼は眠れない』】「沢田研二1980-1985」が「復活」した、あの秋
ココロから離れ、再び吉田建とタッグを組んだ1989年のアルバムが『彼は眠れない』だ。
クレジットを見ると、ベースに吉田建、ドラムスに村上"ポンタ"秀一、ギターには佐橋佳幸、下山淳ら、キーボードに西平彰、ホッピー神山ら、という感じなので、ココロに比べて、一気に若返りが図られたこととなる。
松任谷由実や連載でも紹介した忌野清志郎は別格として、サエキけんぞう、NOBODY、大沢誉志幸、鶴久政治(チェッカーズ)、徳永英明、さらには人気絶頂だったプリンセス プリンセスの奥居香という顔ぶれ。まさに「沢田研二1980-1985」の若手抜擢感、「人間交差点」感再来という感じだ。
このアルバムは当時、本当よく聴いた。「『沢田研二1980-1985』が帰ってきた!」という感慨とともに。またプロモーションのためか、沢田研二が久々、積極的にテレビ出演してくれたのもうれしかった。
発売は1989年10月11日。個人的な話をすれば、私は大学4年生。もう就職は決まっていて、すでにユニコーンや岡村靖幸、フリッパーズ・ギターの洗礼は受けていた頃だった。そんな新進気鋭の音楽家の中に、沢田研二がまた割り込んでくる秋を迎える。
アルバムで1曲だけ選ぶのなら、シングルカットされた『ポラロイドGIRL』(作曲:奥居香)に比べてはやや地味ながら、とてもウェルメイドな『僕は泣く』を推す。ビートルズ・リスペクトなタイトルに、チェッカーズの鶴久政治によるシンプルなメロディー、そして沢田研二の柔らかい声が、見事に溶け合っている。
鶴久政治氏にインタビューした際に「自分の作ったメロディーを、憧れの人に歌ってもらったことが誇らしかった」「沢田研二さんのボーカルは本当に素晴らしかった」と何度も話していた。
1989年、80年代の終わりと平成の始まりを飾った『彼は眠れない』は、沢田研二の「復活」を刻んだ忘れられない1枚となった。
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