読書の秋に肩慣らし 文庫で読むアンソロジー本特集(1)巨匠が描く名門・小栗上野介忠順の一代記「最後の幕臣」池波正太郎ほか著、細谷正充編

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 やはり、今年の夏も尋常ではない暑さで、こう暑いと思うように読書がはかどらないという人も多いのでは。そこで、読書の秋を前に、肩慣らしとしてホテルのバイキングのように好きなものがちょっとずつ楽しめるアンソロジーなどいかがだろう。

  ◇  ◇  ◇

「最後の幕臣」池波正太郎ほか著、細谷正充編

 幕末の動乱期、己を貫いた幕臣たちの生きざまを描く時代小説傑作集。

 名門小栗家の12代目当主・上野介忠順の才覚にいち早く目を付けたのは大老の井伊直弼だった。33歳の忠順を通商条約締結の使節の一員として米国に送り込んだのだ。しかし、渡米中に井伊が暗殺され、強力なバックアップを失った小栗は、帰朝後に役職が変転。それでも日本初の陸海軍を作り上げる一方で勘定奉行として幕府財政にも手腕を発揮する。しかし、その自説を曲げぬ硬骨な勤務ぶりは幕府首脳部に憎まれたり、遠ざけられたりした。大政奉還後、彰義隊への誘いを断り、小栗は家族や家来と共に領地の上州権田村へ向かうが、大逆の疑いをかけられ斬首され、その首はさらしものにされる。(池波正太郎著「明治元年の逆賊」)

 以降、日露和親条約交渉時のロシア全権プチャーチンが外交官・川路聖謨との交流を回顧する谷津矢車著「異国のゴガタキよ」など5編を収録。

(PHP研究所 979円)

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